焼き魚の皮、きれいに残していませんか? 実は魚の皮には、身の部分よりも多く含まれる栄養素がいくつもあります。コラーゲン、DHA、EPA、ビタミンA、ビタミンB2――どれも健康や美容に関わる成分ばかりです。
結論から言うと、魚の皮は「栄養の宝庫」と呼べるほど優秀な部位です。皮を残すということは、これらの栄養素をまるごとゴミ箱に捨てているのと同じこと。
この記事では、魚の皮に含まれる栄養素の種類と量を魚種別に比較し、栄養を逃さない調理法から苦手な人でも食べやすくする工夫まで、まるっと解説します。読み終わるころには、魚の皮を残すのがもったいなく感じるはずです。
・魚の皮に含まれる主な栄養素6種類とその働き
・コラーゲン・DHA・ビタミンAが多い魚種の比較
・栄養素を逃さない調理法と食べやすくする工夫
・皮を食べるときに気をつけたい鮮度管理のポイント
魚の皮に含まれる栄養素は6種類以上|身より多い成分もある

コラーゲンは魚の皮の代表的な栄養素
魚の皮にもっとも多く含まれるタンパク質がコラーゲンです。コラーゲンは皮膚や関節、骨の構成成分で、肌のハリや弾力を保つために欠かせません。
魚の皮はコラーゲンの塊と言ってよいほどで、サケ、タラ、タイ、カレイなどの皮に特に多く含まれています。カレイのえんがわ部分がプリッとした食感なのは、コラーゲンが豊富だからです。
スーパーで切り身を買うとき、皮付きのものを選べばそれだけでコラーゲンを摂れます。サンマやしらすのように皮ごと食べる魚は、意識しなくてもコラーゲンを摂取できるので効率的です。
魚皮由来のコラーゲンは豚皮由来のものに比べて分子量が小さいとされ、体に吸収されやすいという特徴もあります。コラーゲンの摂取源として魚の皮はかなり優秀な食材です。
DHA・EPAは皮の直下に集中している
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3系の不飽和脂肪酸です。どちらも体内ではほとんど合成できない必須脂肪酸で、食事から摂る必要があります。
DHAは脳や神経の働きに関わり、EPAは血液や血管の健康維持に役立つ成分として知られています。この2つの脂肪酸は魚の身全体に含まれていますが、皮と身の間にある脂肪層に特に集中しています。
サバ、イワシ、サンマなどの青魚は皮の直下にDHA・EPAが豊富です。焼き魚で皮を残すと、この脂肪層ごと捨てることになり、DHA・EPAの摂取量が大きく減ります。
刺身用の柵を買って自分で皮を引くときも同じです。皮を引く際に身を厚く残しすぎると、皮側にDHA・EPAの多い脂肪層がくっついたまま捨てることになるので注意しましょう。
ビタミンA・B2は身よりも皮に多い
意外と知られていないのが、ビタミンAとビタミンB2は魚の身よりも皮に多く含まれているという事実です。ビタミンAは目の健康や皮膚の維持に必要な脂溶性ビタミンで、ビタミンB2は脂質の代謝を助ける水溶性ビタミンです。
たとえば鮭の皮100gあたりのビタミンA含有量は約800μg程度とされ、日本人の1日あたりの推奨摂取量(男性750μg、女性600μg)に迫る量です。ブリの皮になると100gあたり約1,300μg程度ともいわれ、身の部分を大きく上回ります。
ビタミンAは脂溶性なので油と一緒に摂ると吸収率が上がります。魚の皮を焼いたり揚げたりする調理法は、味だけでなく栄養面でも理にかなっています。
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康を維持し、口内炎の予防にも関わる栄養素です。魚の皮を食べる習慣があるだけで、これらのビタミンの摂取量が底上げされます。
ビタミンDとアスタキサンチンも見逃せない
魚の皮にはビタミンDも含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける脂溶性ビタミンで、骨の健康に欠かせない成分です。日光を浴びることで体内でも合成されますが、食事からも積極的に摂りたい栄養素です。
さらに、鮭やマスなどの赤い魚の皮にはアスタキサンチンというカロテノイド色素が含まれています。アスタキサンチンは強い抗酸化作用を持ち、紫外線ダメージや酸化ストレスから体を守る働きがあるとされています。
鮭のあの赤い色は、まさにアスタキサンチンの色です。鮭の皮を残すということは、この抗酸化成分をみすみす捨てていることになります。
魚の皮にはタンパク質も含まれています。コラーゲン自体がタンパク質の一種なので、皮を食べることでタンパク質の摂取量も上乗せできます。捨てるにはあまりにもったいない部位です。
魚の皮の栄養素を魚種別に比較|コラーゲンやビタミンが多いのはどの魚?
白身魚の皮はコラーゲンの含有量が多い
コラーゲンの量で選ぶなら、白身魚の皮が有力です。タラ、タイ、カレイ、ヒラメといった白身魚の皮にはコラーゲンが豊富に含まれています。
特にカレイのえんがわ(ヒレの付け根部分)はコラーゲンの塊で、寿司ネタとしても人気があります。マガレイは可食部100gあたりたんぱく質19.6g、脂質1.3g、エネルギー89kcalと、低脂質で高タンパクな魚です。皮ごと煮付けにすれば、コラーゲンが煮汁に溶け出し、冷めたときに煮こごりになるほどです。
タイの皮は湯引きにすると食感がよく、ポン酢で食べる「皮の湯引き」は料亭でも出される一品。コラーゲンを味わいながら摂取できます。
白身魚は脂質が少ない分、皮のコラーゲンの存在感が際立ちます。脂っこさが苦手な人でも食べやすいのが利点です。
青魚の皮はDHA・EPAの宝庫
DHA・EPAを効率よく摂りたいなら、青魚の皮が断トツです。サバ、イワシ、サンマ、アジといった青魚は、皮の直下に脂肪を蓄えやすい体の構造をしています。
サンマは皮が薄く、丸ごと焼いて皮ごと食べるのが定番です。秋のサンマ(旬は9月〜10月)は脂のりが良く、皮の下にDHA・EPAが豊富に含まれています。サバも同様で、しめ鯖や焼きサバでは皮を食べるのが自然です。
イワシは小さいので皮を剥くこと自体が難しく、結果的に皮ごと食べることになります。丸干しや煮付けにすれば栄養を丸ごと摂取できます。
青魚の皮は独特の風味がありますが、それが脂の旨みでもあります。DHA・EPAは加熱で減少する性質があるので、焼きすぎて脂を落としすぎないのがポイントです。
青魚の皮にはDHA・EPAが豊富ですが、高温で長時間焼くと脂が落ちて含有量が減ります。焼き魚にするなら中火でじっくり、煮魚なら煮汁ごと食べると、栄養素を無駄なく摂取できます。
赤い魚の皮にはアスタキサンチンが含まれる
サケ、マス、キンメダイなど皮や身が赤い魚には、アスタキサンチンが含まれています。アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、強い抗酸化作用を持つ成分です。
サケは年間を通じて手に入りやすく、皮も比較的食べやすい魚です。切り身の皮をパリッと焼けば、アスタキサンチンに加えてコラーゲンやビタミンAも一緒に摂れます。
キンメダイは旬が12月〜2月の冬の魚で、煮付けにすると皮のゼラチン質がトロッとして絶品です。あの赤い皮にもアスタキサンチンが含まれています。
アスタキサンチンは脂溶性なので、油を使った調理で吸収率が上がります。サケのムニエルやバター焼きは、味と栄養の両面でおすすめの調理法です。
【さかなのさ調べ】魚種別・皮の栄養素比較表
| 魚種 | コラーゲン | DHA・EPA | ビタミンA | アスタキサンチン | 皮の食べやすさ |
|---|---|---|---|---|---|
| サケ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | 食べやすい |
| サバ | ○ | ◎ | ○ | − | 食べやすい |
| タイ | ◎ | △ | ○ | − | 湯引きが◎ |
| サンマ | ○ | ◎ | ○ | − | 丸焼きで◎ |
| カレイ | ◎ | △ | ○ | − | 煮付けが◎ |
| ブリ | ○ | ◎ | ◎ | − | 照り焼きが◎ |
◎=特に多い ○=含まれる △=少なめ −=ほぼ含まれない
この表からわかるように、魚種によって皮の栄養素の特徴が異なります。コラーゲン重視なら白身魚、DHA・EPA重視なら青魚、抗酸化成分も欲しいならサケと、目的に応じて使い分けるのが賢い選び方です。
魚の皮のコラーゲンは吸収されやすい?体への働きと特徴

魚皮コラーゲンと豚皮コラーゲンの違い
コラーゲンの原料として使われるのは、主に魚の皮と豚の皮です。この2つには構造的な違いがあります。魚皮由来のコラーゲンは豚皮由来のものより分子量が小さいとされ、体に吸収されやすい傾向があるといわれています。
理由は魚の体温にあります。魚は変温動物なので体温が低く、コラーゲンの変性温度(ゼラチン化する温度)も低めです。そのため魚皮コラーゲンは低い温度で溶けやすく、消化・吸収の面で有利とされています。
サプリメントの原料としても魚皮由来コラーゲンペプチドが人気を集めています。ただし、食事から皮ごと魚を食べれば、サプリに頼らなくてもコラーゲンを摂取できます。
煮魚の煮汁が冷めるとプルプルに固まる「煮こごり」は、皮から溶け出したコラーゲン(ゼラチン)そのものです。あの煮こごりを食べることは、天然のコラーゲンを摂取しているということです。
コラーゲンは食べてもそのまま肌に届くわけではない
ここで正直にお伝えしたいのが、コラーゲンを食べても体内でそのままコラーゲンとして使われるわけではない、という点です。食べたコラーゲンは消化の過程でアミノ酸やペプチドに分解され、体内で再合成されます。
「コラーゲンを食べれば肌がプルプルになる」と単純には言い切れません。ただし、近年の研究ではコラーゲンペプチドの摂取が肌の水分量やハリに影響を与える可能性を示すデータも報告されています。
確実に言えるのは、コラーゲンの原料であるアミノ酸(グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン)を食事から摂ることは、体内のコラーゲン合成をサポートする土台になるということです。
魚の皮を食べることはタンパク質の補給にもなるので、コラーゲンの効果を過度に期待しなくても、栄養摂取としては十分に意味があります。
コラーゲンの合成にはビタミンCが必要
体内でコラーゲンを合成するには、ビタミンCが不可欠です。ビタミンCはコラーゲンの構造を安定させるヒドロキシル化反応に必要な補因子で、不足するとコラーゲンが正常に作られません。
魚の皮を食べてコラーゲンの原料を摂っても、ビタミンCが足りなければ体内での合成がうまくいかない可能性があります。焼き魚にレモンを搾る、大根おろしを添えるといった食べ方は、味の相性だけでなく栄養面でも理にかなっています。
特にサケの皮をパリッと焼いてレモンを搾る食べ方は、コラーゲンの原料+ビタミンA+アスタキサンチン+ビタミンCを一度に摂れる合理的な組み合わせです。
日頃から野菜や果物をしっかり食べている人なら、ビタミンCは足りているはずです。魚の皮の栄養を活かすためにも、バランスのよい食事が土台になります。
DHA・EPAは魚の皮にも豊富|皮を食べると摂れるオメガ3脂肪酸の栄養素
DHA・EPAはなぜ体に必要なのか
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や網膜の構成成分として知られ、神経細胞の膜に多く存在しています。EPA(エイコサペンタエン酸)は血液の流動性を保ち、血管の健康維持に関わるとされている脂肪酸です。
どちらもオメガ3系の多価不飽和脂肪酸で、体内ではほとんど合成できません。食事から摂る以外に方法がないため「必須脂肪酸」と呼ばれています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、n-3系脂肪酸の摂取目安量として成人で1日あたり1.6〜2.2g程度が示されています。魚を週に2〜3回食べる習慣があれば達成しやすい量ですが、皮を残すとその分だけ摂取量が減ります。
サプリメントでDHA・EPAを摂る方法もありますが、魚の皮ごと食べれば、コラーゲンやビタミン類も一緒に摂れるので効率的です。
皮と身の間の脂肪層がDHA・EPAの主な貯蔵庫
魚の体内でDHA・EPAが多く蓄えられているのは、皮と身の間にある皮下脂肪層です。この薄い脂肪の層に不飽和脂肪酸が集中しています。
刺身用の柵から皮を引くとき、包丁の角度が浅すぎると皮に身が多く残ります。逆に角度が深すぎて身を厚く残せば安心ですが、皮側に脂肪層がくっついたまま捨てることになり、DHA・EPAをロスします。
皮引きが苦手なら、皮付きのまま炙りにする方法が便利です。バーナーで皮目だけ炙れば、皮の生臭さが消えて香ばしくなり、脂肪層のDHA・EPAもそのまま食べられます。
煮魚にする場合は、皮から溶け出した脂が煮汁に移るので、煮汁ごと食べると栄養を無駄なく摂取できます。煮汁を捨てるのはもったいない、というのは栄養面でも正しい話です。
DHA・EPAは不飽和脂肪酸のため酸化しやすい性質があります。干物や開きを長期間保存すると脂が酸化して風味が落ち、栄養価も低下します。干物は冷凍保存し、開封後は早めに食べきるのがおすすめです。
加熱調理でDHA・EPAはどれくらい減るのか
DHA・EPAは加熱によって分解されるわけではありませんが、焼き魚のように高温で調理すると脂が溶け出して流れ落ちます。焼き魚ではDHA・EPAの約20%が脂とともに失われるという報告もあります。
刺身で食べるのがもっともDHA・EPAを効率よく摂取できる方法ですが、生魚が苦手な人もいるでしょう。煮魚なら煮汁に脂が移るので、煮汁ごと食べれば損失を最小限に抑えられます。
蒸し魚やホイル焼きも脂の流出が少ない調理法です。アルミホイルで包んで蒸し焼きにすれば、脂が閉じ込められてDHA・EPAの損失が少なくなります。
フライや天ぷらは高温の油で揚げますが、衣が脂の流出を防ぐため、意外とDHA・EPAの損失は少ないとされています。ただし揚げ油からのカロリーが増えるのでバランスを考えましょう。
栄養素を逃さない調理法|焼き・煮・揚げで変わるポイント
焼き魚は中火でじっくりが鉄則
焼き魚で皮の栄養素を逃さないコツは、火加減と焼き時間です。強火で焼くと表面が焦げて皮がボロボロになり、中の脂肪層からDHA・EPAが流れ出やすくなります。
中火でじっくり焼くと、皮がパリッと仕上がり、身の中に脂が閉じ込められます。グリルを使う場合は、網に薄く油を塗っておくと皮がくっつきにくくなります。
フライパンで焼くときは、皮目を下にして最初にしっかり焼き、裏返してからは短時間で仕上げます。皮目を先に焼くことで脂を閉じ込め、パリッとした食感になります。
焼き魚に大根おろしやレモンを添えるのは、ビタミンCの補給になります。コラーゲンの合成にビタミンCが必要なので、栄養の組み合わせとしても優秀です。
煮魚は煮汁ごと食べてコラーゲンを丸ごと摂取
煮魚にすると、皮のコラーゲンが加熱によってゼラチン化し、煮汁に溶け出します。これが冷めると「煮こごり」になるのですが、この煮こごりはコラーゲン(ゼラチン)そのものです。
煮汁を残してしまうと、せっかく溶け出したコラーゲンやビタミン類を捨てることになります。煮汁ごとご飯にかけたり、煮こごりをそのまま食べたりするのがおすすめです。
カレイの煮付けは皮のコラーゲンが煮汁にたっぷり溶け出す代表的な料理です。しょうゆ、みりん、砂糖、酒で甘辛く煮た煮汁はご飯との相性も抜群で、栄養も味も逃しません。
煮魚で失敗しがちなのが、強火で煮すぎて皮が破れるパターンです。落とし蓋をして中火〜弱火で煮ると、皮が崩れにくく見た目もきれいに仕上がります。
蒸し・ホイル焼きは栄養の流出がもっとも少ない
栄養の流出をもっとも抑えられる調理法は、蒸し魚とホイル焼きです。密閉された環境で加熱するため、脂や水溶性ビタミンが外に流れ出しません。
ホイル焼きはアルミホイルで魚と野菜を包んでオーブンやフライパンで加熱するだけ。魚から出た蒸気が中で循環するので、ふっくらと仕上がり、皮の栄養素もそのまま閉じ込められます。
サケのホイル焼きは定番メニューですが、DHA・EPA、コラーゲン、ビタミンA、アスタキサンチンをまとめて摂れるという意味で、栄養面でも理想的な調理法です。きのこや玉ねぎを一緒に入れると、ビタミンB群や食物繊維もプラスできます。
電子レンジ蒸しも手軽で栄養の損失が少ない方法です。耐熱容器に魚と調味料を入れてラップをかけ、600Wで4〜5分加熱するだけで完成します。
揚げ物は衣が脂の流出をブロックする
フライや天ぷらは高温調理ですが、衣が魚の表面を覆うため、実は脂の流出が少ない調理法です。DHA・EPAが衣の中に閉じ込められるので、揚げた魚を皮ごと食べれば栄養はしっかり摂れます。
アジフライやイワシの天ぷらは、皮付きのまま丸ごと揚げるので、皮の栄養素を余すことなく摂取できます。小アジの南蛮漬けも、骨ごと皮ごと食べられるので栄養面では優秀です。
ただし揚げ物はカロリーが高くなるので、毎日の調理法としてはバランスを考える必要があります。週に1〜2回のフライ料理で皮ごと食べる、という取り入れ方がちょうどよいでしょう。
揚げ油の温度は170〜180℃が目安です。温度が低すぎると衣がべちゃっとなり、高すぎると焦げて風味が損なわれます。
魚の皮が苦手でも栄養素を摂れる|食べやすくする工夫5選
皮をパリパリに焼けば食感が変わる
魚の皮が苦手な人の多くは、ぶよぶよした食感やぬめりが原因です。皮をパリパリに焼くだけで、食感がまったく変わります。
フライパンにクッキングシートを敷き、皮目を下にして中火で焼きます。身の上から軽くフライ返しで押さえると、皮が反り返らずに均一にパリッと焼けます。片面を5〜6分焼いてから裏返し、身側は2〜3分で仕上げるのがコツです。
サケの切り身でこの方法を試すと、皮がチップスのようにカリカリになり、苦手だった人でも食べられることがあります。パリパリの皮に塩を振るだけで、おつまみにもなります。
グリルで焼く場合も、焼き上がりの最後に強火で30秒ほど追加加熱すると皮がカリッと仕上がります。焦がさない程度に見ながら調整してください。
皮ごとスープや汁物にすれば無理なく摂取できる
皮の食感が苦手でも、スープや汁物に入れれば皮ごと食べやすくなります。コラーゲンが溶け出してスープにコクが出るので、味わいもアップします。
魚のあら汁は皮付きのアラを使うことで、コラーゲンが溶け出してとろみのある汁になります。タイのあら汁やサケのあら汁は、皮からの栄養素がスープに移るので、汁を飲むだけで栄養を摂取できます。
洋風ならブイヤベースやアクアパッツァに皮付きの切り身を使う方法もあります。トマトやニンニクと一緒に煮込むと魚の臭みが消え、皮も気にならなくなります。
味噌汁に魚の皮を入れるのも手軽な方法です。サケの皮を細く切って味噌汁に入れると、コラーゲンが溶けて汁がまろやかになります。
魚の皮チップスに揚げればスナック感覚で食べられる
意外かもしれませんが、魚の皮だけを揚げた「皮チップス」はおつまみとして人気があります。サケやタラの皮を短冊状に切り、170〜180℃の油でカラッと揚げるだけです。
揚げたてに塩を振れば、パリパリ食感のヘルシーなスナックになります。コラーゲンやビタミンAを手軽に摂取でき、ビールのおつまみにもぴったりです。
居酒屋メニューにある「鮭皮チップス」を自宅で再現するイメージです。皮の水気をしっかり拭き取ってから揚げると、油はねが少なくカラッと仕上がります。
エアフライヤーがあれば、油を使わずにパリパリの皮チップスを作ることもできます。180℃で10〜12分加熱するだけなので、ヘルシーさを重視する人にはこちらがおすすめです。
①皮の水気をキッチンペーパーでしっかり拭く(油はね防止)
②短冊状に切ってから片栗粉を薄くまぶす(カリッと仕上がる)
③170〜180℃の油で泡が小さくなるまで揚げる(約2〜3分)
④揚げたらすぐに塩を振る(冷めてからだと味がなじみにくい)
缶詰や骨ごと食べられる小魚で手軽に摂取
調理が面倒なら、魚の缶詰がもっとも手軽な方法です。サバ缶、イワシ缶、サンマ缶は皮も骨もそのまま入っているので、開けるだけで皮の栄養素を丸ごと摂取できます。
缶詰は加圧加熱処理されているため、骨まで柔らかくなっています。皮の食感も気にならず、DHA・EPA、コラーゲン、カルシウムを一度に摂れます。
しらすやちりめんじゃこも皮ごと食べる小魚です。ご飯にかけたりサラダに混ぜたりするだけで、魚の皮の栄養素を手軽に摂取できます。
めざしやワカサギの丸干しも、頭から尾まで丸ごと食べられるので、皮の栄養素はもちろん、骨のカルシウムまで無駄なく摂れます。
栄養素を活かすための季節別おすすめ魚種
春(3月〜5月)はカツオとタイの皮に注目
春の魚で皮の栄養素が注目できるのは、初ガツオとマダイです。初ガツオ(3月〜5月)は脂が少なくさっぱりした味わいで、皮目を炙った「たたき」が定番の食べ方です。
カツオのたたきは皮付きのまま表面を炙るので、皮の栄養素をそのまま摂取できます。ポン酢と薬味で食べれば、ビタミンCの補給にもなります。
マダイは「桜鯛」と呼ばれる春が旬で、皮の湯引きが美味です。皮目に熱湯をかけてすぐ氷水で冷やすと、皮がキュッと縮まって独特の食感になり、コラーゲンを味わいながら摂取できます。
春はメバルも旬を迎えます。メバルは煮付けにすることが多く、皮のコラーゲンが煮汁に溶け出して煮こごりになるので、煮汁ごと食べるのがおすすめです。
夏(6月〜8月)はアジとイワシの皮を丸ごと
夏に旬を迎えるアジ(5月〜8月)とイワシ(6月〜8月)は、どちらも皮ごと食べやすい魚です。アジは皮が薄く、なめろうやたたきで皮ごと食べるのが一般的です。
アジフライは衣が皮の脂を閉じ込めるので、DHA・EPAの損失が少ない調理法です。アジフライにレモンを搾れば、ビタミンCの補給にもなります。
マイワシは脂のりがよく、6月〜8月の「入梅イワシ」は特に脂が乗っています。皮の直下にDHA・EPAが豊富なので、刺身や酢締めで皮ごと食べるのが栄養的にはベストです。
夏場は鮮度落ちが早いので、買ったらすぐに調理するか冷蔵保存してください。ヒスタミン産生菌は常温で増殖するため、魚を常温で長時間放置するのは避けましょう。
夏場は気温が高く、魚の鮮度が急速に落ちます。特に青魚(サバ、アジ、イワシなど)は鮮度低下が早い魚種です。スーパーで買ったら寄り道せずに持ち帰り、すぐに冷蔵庫に入れましょう。体調に異変を感じた場合は、医療機関を受診してください。
秋(9月〜11月)はサンマとサバの皮が脂のピーク
秋の味覚といえばサンマ(旬は9月〜10月)です。秋のサンマは脂のりが年間でもっとも良く、皮の直下にDHA・EPAがたっぷり蓄えられています。塩焼きにして皮ごとかぶりつくのが、栄養素をもっとも手軽に摂る方法です。
マサバの旬は10月〜2月で、秋から冬にかけて脂がのります。しめ鯖は皮付きのまま食べるのが基本なので、DHA・EPAを丸ごと摂取できます。
戻りガツオ(9月〜11月)は春の初ガツオと比べて脂が多く、「トロガツオ」とも呼ばれます。皮目の炙りたたきにすると、脂の旨みとDHA・EPAを同時に楽しめます。
秋は魚の脂のりが良い季節なので、皮を残さず食べるだけで栄養摂取量がグンと上がります。
冬(12月〜2月)はブリとキンメダイの皮が栄養豊富
冬の代表格は寒ブリ(旬は12月〜2月)です。ブリの皮100gあたりのビタミンA含有量は約1,300μg程度ともいわれ、魚の中でもトップクラスです。照り焼きにすると皮がパリッと香ばしくなり、食べやすくなります。
キンメダイも冬が旬の魚で、煮付けにすると皮のゼラチン質がトロッとして絶品です。赤い皮にはアスタキサンチンが含まれており、コラーゲンも豊富です。
冬はタラも旬を迎えます。タラの皮はコラーゲンが多く、鍋物にすると皮のコラーゲンが出汁に溶け出してスープにコクが加わります。タラちり鍋で〆に雑炊を作れば、溶け出した栄養素をご飯ごと摂取できます。
冬は鍋料理のシーズンなので、皮付きの魚を鍋に入れるだけで自然と皮の栄養素を摂取できます。もっとも手軽に魚の皮を食べられる季節かもしれません。
魚の皮を食べるときの注意点|ウロコ・ぬめり・鮮度の栄養素以外のチェック
ウロコの取り残しは食感と衛生の両面でNG
魚の皮を食べるなら、ウロコの処理は必須です。ウロコが残ったまま調理すると、口の中でジャリジャリした異物感があり、食べる気をなくします。
スーパーで売られている切り身はウロコが処理済みのものがほとんどですが、1枚の魚から自分でさばく場合はウロコ取りが最初の工程になります。包丁の背を使い、尾から頭に向かってこそげ取ります。専用のウロコ取り器を使うと飛び散りが少なく便利です。
タイやスズキはウロコが大きく硬いので、丁寧に取り除く必要があります。逆にサンマやイワシはウロコが小さく取れやすいので、流水で洗うだけでほぼきれいになります。
ウロコが残っていると衛生面でも問題があります。ウロコの隙間に細菌が入り込みやすく、鮮度低下の原因にもなるので、下処理の段階でしっかり取り除きましょう。
ぬめり取りで臭みを減らす下処理のコツ
魚の皮の表面にはぬめりがあり、これが臭みの原因になることがあります。ぬめりを取る方法はいくつかありますが、もっとも手軽なのは塩を振ってこする方法です。
切り身の皮面に塩を軽く振り、指でこすってから水で洗い流します。塩がぬめりのタンパク質を凝固させて取りやすくしてくれます。これだけで焼いたときの臭みがかなり軽減されます。
熱湯をかける「霜降り」も効果的な方法です。ボウルに切り身を置き、沸騰した湯をサッとかけてすぐ氷水に取ります。表面のぬめりと血合いが固まって取れ、臭みが大幅に減ります。煮魚の下処理に特に有効です。
料理酒に10分ほど漬けるのも臭み取りに役立ちます。アルコールが蒸発するときに臭み成分を一緒に飛ばしてくれます。
鮮度の見極め方と保存のポイント
皮の栄養素を最大限に活かすには、鮮度のよい魚を選ぶことが大前提です。鮮度が落ちた魚は味も栄養価も低下し、臭みも強くなります。
切り身を選ぶときは、皮にツヤとハリがあるかを確認します。皮がくすんでいたり、ぶよぶよしていたりするものは鮮度が落ちている可能性があります。ドリップ(水分)がパックの底に溜まっているものも避けましょう。
丸ごとの魚なら、目が澄んでいること、エラが鮮やかな赤色であること、体表にツヤがあることが鮮度の目安です。触ったときに弾力があるものが新鮮です。
買ってきた魚は、すぐに使わない場合はラップで密閉してチルド室(0〜2℃)で保存します。2日以内に食べきれない場合は冷凍保存が安心です。切り身を冷凍する場合は、空気を抜いてラップで包み、さらにジッパー付き保存袋に入れると酸化を防げます。
まとめ|魚の皮の栄養素を知れば、もう捨てるのがもったいなくなる
魚の皮には、コラーゲン、DHA、EPA、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、アスタキサンチンなど、身の部分だけでは摂りきれない栄養素がぎっしり詰まっています。特にビタミンAとビタミンB2は身よりも皮に多く含まれているので、皮を残すことはこれらの栄養をみすみす捨てていることと同じです。
魚種によって皮の栄養素の特徴は異なります。コラーゲンを重視するなら白身魚(タラ、タイ、カレイ)、DHA・EPAを効率よく摂りたいなら青魚(サバ、イワシ、サンマ)、抗酸化成分も欲しいならサケやキンメダイと、目的に合わせて選ぶのが賢い食べ方です。
この記事のポイントを整理します。
- 魚の皮にはコラーゲン・DHA・EPA・ビタミンA・B2・D・アスタキサンチンが含まれる
- ビタミンAとB2は身よりも皮に多い(ブリの皮はビタミンAが100gあたり約1,300μg程度)
- DHA・EPAは皮と身の間の脂肪層に集中している
- 魚皮由来コラーゲンは分子量が小さく吸収されやすいとされる
- 栄養を逃さない調理法は、蒸し>煮(煮汁ごと)>焼き(中火)の順
- 皮が苦手ならパリパリ焼き・皮チップス・スープ・缶詰で無理なく摂取できる
- 鮮度管理とウロコ・ぬめりの下処理が、おいしく皮を食べるための前提条件
まずは今日の夕食の焼き魚で、いつもは残している皮をひと口食べてみてください。パリッと焼けた皮のおいしさに気づけば、もう残すのがもったいなく感じるはずです。スーパーで切り身を選ぶときに「皮付き」を意識するだけで、毎日の食事の栄養バランスが一段上がります。
※栄養成分の含有量は魚種・個体・季節・部位によって異なります。最新の栄養成分データは日本食品標準成分表でご確認ください。

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