カマス刺身は皮ごと炙るのが正解|さばき方から鮮度の見極めまで丸わかり

カマス刺身は皮ごと炙るのが正解|さばき方から鮮度の見極めまで丸わかりのアイキャッチ画像

「カマスって刺身で食べられるの?」と聞かれたら、答えは「食べられる、しかも皮ごと炙ると格別においしい」です。カマスは塩焼きや干物のイメージが強い魚ですが、鮮度のよいものを正しくさばけば、刺身でも十分に楽しめます。特にアカカマスの秋の脂がのった時期は、炙った皮から立ちのぼる香ばしさと、とろりとした身の甘みが口の中で合わさって、ほかの魚では味わえない一皿になります。

ただし、カマスは鮮度が落ちるスピードが速い魚です。買い方・さばき方・食べ方のどれかひとつでも間違えると「生臭くてまずい」という残念な結果になりかねません。この記事では、スーパーでの鮮度の見極め方から三枚おろしの手順、焼き霜造り・湯引き・昆布締めといった仕上げ方、さらにアニサキス対策まで、カマスの刺身を家庭で安全においしく楽しむための情報をまとめました。

📌 この記事でわかること

・カマスの刺身が「皮ごと」で食べるべき理由と焼き霜造りの作り方
・スーパーで鮮度のよいカマスを見分ける3つのチェックポイント
・アカカマスとヤマトカマスの違いと、刺身に向く種類の選び方
・アニサキスのリスクと家庭でできる予防策

目次

カマス刺身は「皮の香ばしさ」で決まる|焼き霜造りが定番になった理由

カマス刺身は「皮の香ばしさ」で決まる|焼き霜造りが定番になった理由の解説画像

カマスの刺身は皮付きで食べるのが鉄則

カマスの刺身を食べるなら、皮を引かずに皮付きのまま仕上げるのが基本です。カマスの皮には独特の旨みと脂が集中しており、皮を取ってしまうと淡泊な白身だけが残り、カマスならではの個性が薄れてしまいます。

白身魚の刺身は皮を引くのが一般的ですが、カマスの場合は事情が異なります。皮と身の間にある脂肪層が味の要になっていて、この部分を残すかどうかで仕上がりがまったく変わります。スーパーの鮮魚コーナーで「刺身用」として柵で売られているカマスも、多くの場合は皮付きの状態です。

皮付きのまま食べるには、皮を柔らかくする下処理が必要になります。生のままだと皮が硬く、口当たりがよくありません。そこで使われるのが「焼き霜造り」や「湯引き」といった技法です。やりがちな失敗は、皮を引いてしまってから「味が物足りない」と感じるパターン。カマスの刺身は皮を残す前提で準備を進めてください。

焼き霜造りが選ばれるのは香りのインパクトがあるから

焼き霜造りとは、皮目だけをバーナーや強火のグリルで炙り、すぐに氷水で冷やしてから切りつける技法です。カマスの皮に含まれる脂が高温で一瞬だけ加熱されることで、香ばしい風味が生まれます。身の内側は生のままなので、刺身の食感と炙った皮の香ばしさを同時に楽しめるのが魅力です。

湯引き(皮目に熱湯をかける方法)でも皮は柔らかくなりますが、焼き霜造りと比べると香ばしさが出ません。カマスの脂は加熱すると甘い香りに変わる特徴があり、この香りの変化こそが焼き霜造りを定番たらしめている理由です。

調理用バーナーがあれば家庭でも手軽に作れます。バーナーがない場合は、魚焼きグリルの強火で皮目だけを10〜15秒あてる方法でも代用できます。炙りすぎると身まで火が通ってしまうので、皮がうっすら焦げる程度で止めるのがポイントです。

刺身で食べるなら秋のアカカマスを狙いたい

カマスの刺身がもっともおいしくなるのは、アカカマスの旬にあたる9月〜11月です。この時期のアカカマスは産卵を終えて体力を回復し、冬に備えて脂を蓄えるため、身に脂がしっかりのっています。

脂がのったアカカマスの刺身は、白身魚でありながらほんのり甘みがあり、舌の上でとろけるような食感になります。一方、夏場に出回るヤマトカマスは水分が多く、刺身にすると水っぽさが気になることがあります。刺身目的でカマスを買うなら、秋のアカカマスを選ぶのが間違いのない選択です。

春(3月〜5月ごろ)にもアカカマスは出回りますが、秋ほど脂はのっていません。春のカマスは塩焼きや干物にするのがおすすめです。刺身で食べるなら、秋まで待つ価値があります。

🐟 カマス スペックカード
分類スズキ目カマス科カマス属
アカカマス:9月〜11月/ヤマトカマス:6月〜8月
大きさ全長30〜40cm前後
生息域日本各地の沿岸域(太平洋側・日本海側ともに分布)
味の特徴淡泊な白身に皮下の脂が加わり上品な甘みがある
おすすめ調理法焼き霜造り(刺身)・塩焼き・干物・フライ

スーパーで失敗しない鮮度の見極め方|目・エラ・腹の3点チェック

目が澄んで黒目がくっきりしているか

カマスの鮮度を見分けるとき、最初に確認したいのが目の状態です。鮮度のよいカマスは目が澄んでいて、黒目の部分がくっきりと見えます。時間が経つと目が白く濁り、くぼんでくるので、この変化は売り場でもすぐにわかります。

カマスは鮮度落ちが速い魚の代表格です。常温で数時間放置するだけでヒスタミンが増えやすくなるとされており、目の濁りはその劣化の初期サインにあたります。丸ごと1尾で売られている場合は必ず目をチェックしてください。

切り身やパック詰めの場合は目を確認できませんが、そのときはドリップ(赤い液体)が出ていないかを見ましょう。ドリップが多い切り身は時間が経っている証拠です。

エラの色が鮮やかな赤色をしているか

エラぶたを持ち上げて中を見ると、鮮度がよいカマスのエラは鮮やかな赤色をしています。鮮度が落ちると茶褐色やくすんだピンクに変わるため、色の違いで判断できます。

エラは魚の呼吸器官であり、血液が多く集まる部位です。そのため酸化の影響を受けやすく、鮮度の指標として信頼性が高いチェックポイントになります。スーパーによってはエラを見せてくれない場合もありますが、鮮魚コーナーのスタッフに聞けば確認させてもらえることがほとんどです。

エラの臭いも参考になります。新鮮なカマスは海水のような磯の香りがしますが、鮮度が落ちると生臭い不快な臭いに変わります。

腹が張っていてぶよぶよしていないか

3つ目のチェックポイントは腹部の張りです。新鮮なカマスは腹がしっかりと張っていて、指で軽く押しても弾力があります。鮮度が落ちると内臓から劣化が進み、腹がぶよぶよと柔らかくなります。

特にカマスの場合、内臓の劣化スピードが速いため、腹の状態は鮮度を測る重要な手がかりです。腹が破れていたり、内臓の臭いが外に漏れているものは避けましょう。刺身で食べるなら、当日入荷のものを選ぶのが理想です。

購入後は寄り道せずにまっすぐ帰宅し、すぐに内臓を取り除いて冷蔵庫に入れてください。カマスの鮮度を保つには「買ってから包丁を入れるまでの時間」を最短にすることが重要です。

⚠️ カマスは鮮度劣化が速い魚です

カマスは常温で数時間放置するとヒスタミン(アレルギー様食中毒の原因物質)が増えやすいとされています。購入後は0℃前後で保管し、できるだけ当日中に内臓を処理してください。刺身で食べる場合は、活き締め〜当日中のものを選ぶのが安心です。

アカカマスとヤマトカマス|刺身に向くのはどっち?

アカカマスとヤマトカマス|刺身に向くのはどっち?の解説画像

見た目で見分ける方法は体の色とウロコの大きさ

アカカマスとヤマトカマスは、並べて見ると体色がはっきり違います。アカカマスは体全体が赤みを帯びた黄褐色をしていて、ヤマトカマスは全体的に黒っぽい銀灰色をしています。

もうひとつの見分けポイントはウロコです。アカカマスのウロコは比較的大きくしっかりしていますが、ヤマトカマスはウロコが小さく細かいのが特徴です。スーパーの売り場ではウロコが取られていることも多いですが、体色の違いだけでも判別できます。

地域によって呼び名が異なるのもカマスの面白いところです。アカカマスは「本カマス」とも呼ばれ、ヤマトカマスは水分が多いことから「ミズカマス」の別名を持っています。売り場で「本カマス」と書いてあればアカカマスのことです。

刺身にするならアカカマス一択と言える理由

結論から言えば、刺身にはアカカマスが向いています。アカカマスは身に脂がしっかりのっていて水分が少ないため、刺身にしたときに身が締まり、旨みを感じやすいのが理由です。

ヤマトカマスは「ミズカマス」と呼ばれるとおり水分含有量が多く、刺身にすると身が柔らかすぎて水っぽさが気になります。包丁で切るときにも身が崩れやすく、きれいな切りつけが難しい面があります。ヤマトカマスは干物にして水分を飛ばすことで旨みが凝縮され、本来のおいしさが引き出されます。

意外と知られていないのですが、ヤマトカマスでもひと手間かければ刺身で楽しめます。軽く塩を振って30分ほど置き、表面の水分を抜いてからキッチンペーパーで拭き取る「塩締め」を施すと、身が引き締まって食感が改善されます。ただし、やはりアカカマスの刺身と比べると風味の差は歴然です。

旬の時期がずれるから年間を通して楽しめる

アカカマスの旬は9月〜11月の秋、ヤマトカマスの旬は6月〜8月の夏と、旬の時期がずれています。つまり、夏はヤマトカマスの干物や塩焼き、秋はアカカマスの刺身と、季節によって楽しみ方を変えられるのがカマスの魅力です。

旬を外したカマスは脂ののりが悪く、刺身にしても味がぼんやりしがちです。スーパーの売り場で「今日のカマスは刺身にしていいかな?」と迷ったら、まず時期を確認しましょう。9月〜11月にアカカマスが並んでいたら、迷わず刺身用に買って帰る価値があります。

冬から春(12月〜3月ごろ)にもアカカマスは流通しますが、脂ののりは秋には及びません。この時期は塩焼きやフライなど、火を通す調理法のほうがカマスの持ち味を活かせます。

比較項目 アカカマス(本カマス) ヤマトカマス(ミズカマス)
体の色 赤みを帯びた黄褐色 黒っぽい銀灰色
身の特徴 脂がのって水分少なめ 水分が多く身が柔らかい
秋(9月〜11月) 夏(6月〜8月)
刺身向き度 ◎(焼き霜造りが絶品) △(塩締めすれば可)
おすすめ調理法 刺身・塩焼き・フライ 干物・一夜干し・塩焼き
🗓 カマスの旬カレンダー(さかなのさ調べ)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=最旬(もっとも美味しい時期・アカカマス基準) ○=美味しい(ヤマトカマスの旬含む) △=出回るが旬ではない

カマス刺身のための三枚おろし|包丁の入れ方を6ステップで解説

下準備はウロコと頭の処理から始める

カマスをさばく前に、まずウロコを丁寧に取り除きます。カマスのウロコは薄くて取りやすいですが、残っていると刺身の口当たりが悪くなるので、尾から頭に向かって包丁の背でこそげ取ってください。両面とも忘れずに処理します。

ウロコを取ったら、流水で魚体全体を洗い、水気をキッチンペーパーで拭き取ります。この「洗って拭く」工程を省略すると、ウロコの破片やぬめりが身に移ってしまい、生臭さの原因になります。

次に頭を落とします。胸ビレの後ろに包丁を斜めに入れ、背骨に当たるまで切り込みます。裏返して同じ位置から包丁を入れ、背骨を断ち切って頭を外してください。カマスは口が大きく歯が鋭い魚なので、頭を持つときは指を口に入れないよう注意が必要です。

内臓を取り出して腹の中をきれいに洗う

頭を落としたら、腹を肛門まで切り開いて内臓を取り出します。カマスの内臓は小さいので一度に引き出せますが、腹腔内に残った血合い(背骨に沿った暗赤色の部分)は歯ブラシや指先で丁寧にこすり落としてください。

血合いが残ると生臭さの原因になり、刺身の味を損ないます。流水で腹の中を洗い、血合いが完全に取れたことを確認したら、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。この段階で腹の中に水分を残さないことが、おいしい刺身を作るうえでの基本です。

内臓を取り出す際にアニサキスがいないか目視で確認する習慣をつけておくと安心です。アニサキスは白い糸状の寄生虫で、内臓の周辺に多く見られます。

三枚おろしは中骨に沿わせる感覚で

いよいよ三枚おろしに入ります。まず魚の頭側を左に向け、腹側から包丁を入れます。中骨に刃先が触れる感覚を保ちながら、尾に向かってスーッと刃を進めてください。カマスは身が柔らかいため、力を入れすぎると身が崩れます。包丁の重みだけで切り進めるイメージです。

腹側を開いたら魚を180度回転させ、今度は背側から中骨に沿って包丁を入れます。最後に尾のつけ根で身を切り離せば、片身が取れます。裏返して同じ手順を繰り返し、もう片方の身を外せば三枚おろしの完成です。

初心者がやりがちな失敗は、包丁の角度が寝すぎて中骨に身が大量に残ってしまうことです。包丁の刃先が中骨に「カリカリ」と軽く当たる角度を保つのがコツで、骨の感触を手に伝えながら切り進めると身のロスを減らせます。

腹骨をすき取り、皮付きのまま柵に仕上げる

三枚におろした身には腹骨が残っているので、包丁を薄く寝かせて腹骨をすき取ります。腹骨は斜めに生えているので、骨の角度に沿って包丁を動かすのがポイントです。身を厚く取りすぎないよう、骨のギリギリを攻めてください。

腹骨を取ったら、身の中央に残っている血合い骨(小骨)を骨抜きで1本ずつ抜きます。指先で身をなでると骨の位置がわかるので、頭側から順に抜いていきましょう。カマスは骨が細いため、勢いよく引くと骨が途中で折れることがあります。骨の生えている方向に沿って、ゆっくり引き抜くのがコツです。

カマスの刺身は皮付きで仕上げるのが基本なので、ここでは皮引きをしません。この段階で皮付きの柵が2本できているはずです。次のステップで焼き霜造りや湯引きの処理に進みます。

🔪 カマスの三枚おろし手順
Step1:ウロコを取る(尾から頭に向かって包丁の背でこそげ取り、流水で洗う)
Step2:頭を落とす(胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れ、背骨を断ち切る)
Step3:内臓を取り除く(腹を開いて内臓を出し、血合いを歯ブラシでこすり落とす)
Step4:三枚におろす(腹側→背側の順に中骨に沿って包丁を入れ、身を切り離す)
Step5:腹骨をすき取る(包丁を薄く寝かせ、骨の角度に沿ってすき取る)
完成! 血合い骨を骨抜きで抜けば、皮付きの刺身用の柵になります

焼き霜造り・湯引き・昆布締め|プロも使う3つの仕上げ方

焼き霜造りはバーナーで皮目を5〜10秒炙るだけ

焼き霜造りの手順はシンプルです。皮付きの柵の皮目を上にしてバットやまな板に置き、調理用バーナーで皮目を5〜10秒ほど炙ります。皮がチリチリと縮み、うっすら焦げ目がつけば十分です。

炙ったらすぐに氷水に落として冷やします。この急冷が大切で、放置すると余熱で身全体に火が通ってしまい、刺身の生の食感が失われます。氷水に30秒ほど浸けたら引き上げ、キッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取ります。

切りつけは皮目を上にして、斜めに7〜8mmの厚さに切るのがおすすめです。薄すぎると皮の食感が目立ちすぎ、厚すぎると身の甘みを感じにくくなります。ポン酢やもみじおろしとの相性が抜群で、日本酒のお供にもぴったりです。

湯引きは熱湯をかけて氷水で締める方法

バーナーがない家庭では湯引きが手軽な代替手段になります。皮付きの柵の皮目を上にしてバットに置き、沸騰したお湯を皮目にさっとかけます。皮が白く変色したらすぐに氷水に落として冷やしてください。

湯引きのメリットは特別な道具が不要なことです。焼き霜造りほど香ばしさは出ませんが、皮が柔らかくなって口当たりがよくなり、皮の旨みをしっかり味わえます。わさび醤油でシンプルに食べるなら、湯引きのほうがカマス本来の味を楽しめるという声もあります。

湯の量が多すぎると身の表面まで火が通ってしまうので、小さめのレードルやおたまで少量ずつかけるのがポイントです。かける回数は1〜2回で十分です。

昆布締めは一晩寝かせてねっとりとした旨みを引き出す

昆布締めは、皮を引いた柵を昆布で挟んでラップをし、冷蔵庫で半日〜一晩寝かせる方法です。昆布のグルタミン酸がカマスの身に移り、ねっとりとした食感と奥深い旨みが加わります。焼き霜造りとはまったく違うベクトルのおいしさです。

昆布締めの場合は皮を引いてから仕込みます。皮があると昆布の旨みが身に浸透しにくいためです。使う昆布は日高昆布や利尻昆布が適しており、表面を軽く湿らせたキッチンペーパーで拭いてから使います。昆布を水で濡らしすぎると身が水っぽくなるので注意してください。

寝かせすぎると昆布の味が強くなりすぎるため、初めて作るなら6〜8時間程度から試すのがおすすめです。切りつけは薄めに3〜5mmで引くと、ねっとり感を舌の上で楽しめます。

Q. カマスの刺身に合う薬味や調味料は?
A. 焼き霜造りにはポン酢+もみじおろし+刻みネギの組み合わせが定番です。炙った皮の香ばしさをポン酢の酸味が引き立てます。湯引きや生の刺身にはわさび醤油がおすすめ。昆布締めには塩とすだちを添えると、昆布の旨みとカマスの甘みが引き立ちます。

アニサキスと鮮度劣化を防ぐために知っておくべきこと

カマスにもアニサキスは寄生する

カマスは比較的アニサキスの報告が少ない魚ですが、寄生の可能性はゼロではありません。アニサキスはサバやイカに多いイメージがありますが、カマスを含む多くの海水魚に寄生することがあります。

アニサキスは白い糸状の寄生虫で、体長2〜3cm程度です。生きたまま口に入ると、数時間後に激しい腹痛や吐き気を引き起こすことがあります。特に内臓周辺に多く、鮮度が落ちると内臓から身のほうへ移動する性質があるため、購入後すぐに内臓を取り除くことが有効な対策になります。

刺身にする際は、身を光に透かして目視で確認する習慣をつけましょう。アニサキスは半透明の白色なので、明るい場所で柵をかざすと見つけやすくなります。

冷凍と加熱でアニサキスは死滅する

アニサキスを確実に死滅させる方法は2つあります。ひとつは冷凍で、マイナス20℃以下で24時間以上冷凍すること。もうひとつは加熱で、中心温度60℃以上で1分以上加熱することです。これらは厚生労働省が推奨している基準です。

家庭の冷凍庫はマイナス18℃前後のものが多いため、厳密にはマイナス20℃に達しない場合があります。心配な場合は48時間以上冷凍するか、業務用の急速冷凍庫がある鮮魚店で処理済みのものを購入するのが確実です。

なお、酢で締めてもアニサキスは死滅しません。「酢で締めれば安全」という誤解がありますが、酢や醤油、わさびではアニサキスを殺すことはできません。生食する場合は目視確認と冷凍処理を組み合わせるのが基本です。

ヒスタミン食中毒を防ぐ温度管理のポイント

カマスはヒスタミンが生成されやすい魚のひとつです。ヒスタミンは魚の身に含まれるアミノ酸(ヒスチジン)が、細菌の働きで変換されることで生成されます。一度生成されたヒスタミンは加熱しても分解されないため、予防には温度管理が重要です。

具体的には、購入後は0℃前後で保管し、常温に長時間さらさないことが基本です。買い物帰りに寄り道をしたり、台所で出しっぱなしにしたりするだけでも、魚の表面温度が上がってヒスタミン生成のリスクが高まります。

カマスを刺身で食べるなら「鮮度管理が命」と覚えておいてください。心配な場合は医療機関を受診してください。

⚠️ アニサキス対策のまとめ

・購入後すぐに内臓を取り除く(アニサキスが身に移る前に処理する)
・刺身にする際は光に透かして目視確認する
・冷凍処理:マイナス20℃以下で24時間以上
・加熱処理:中心温度60℃以上で1分以上
・酢・醤油・わさびではアニサキスは死滅しない
・体調に異変を感じたら、速やかに医療機関を受診してください

刺身以外のカマス料理|塩焼き・干物・フライで丸ごと味わう

塩焼きはカマスの王道|シンプルだからこそ脂の旨みが際立つ

カマスの塩焼きは、刺身と並ぶ定番の食べ方です。内臓を取り除いて振り塩をし、30分ほど置いてから焼くだけのシンプルな調理ですが、皮下の脂がじわっと溶け出してパリッと焼けた皮と合わさると、それだけでご飯が進む一品になります。

コツは塩を振ってから少し時間を置くことです。塩が身の表面の水分を引き出し、この水分を拭き取ってから焼くと、皮がパリッと仕上がります。焼き加減は中火でじっくりが基本で、皮目から焼き始めて7割ほど火が通ったら返し、身側を軽く焼いて完成です。

秋のアカカマスはもちろん、刺身には向かない春〜夏のカマスや、ヤマトカマスでも塩焼きなら十分においしく食べられます。すだちや大根おろしを添えると、脂の重さが軽減されて食べやすくなります。

干物にすると旨みが凝縮されて別格のおいしさに

カマスの干物は、特にヤマトカマス(ミズカマス)で作ると絶品です。水分の多いヤマトカマスも、干すことで余分な水分が抜け、旨みがぎゅっと凝縮されます。「刺身には向かない」と言われるヤマトカマスが、干物では逆に主役になるのが面白いところです。

家庭で一夜干しを作るなら、開いたカマスを10%程度の塩水に20〜30分漬けてから、キッチンペーパーで水気を拭き取り、冷蔵庫内に干物用ネットを置いて一晩乾燥させます。冷蔵庫の冷風が天然の干し場の代わりになり、衛生的に仕上がります。

焼くときは弱火〜中火でゆっくり焼き、身から脂がにじみ出てくるのを待ちましょう。干物は焦げやすいので、強火は厳禁です。焼き上がりの皮のパリッとした食感と、噛むほどに広がる旨みは、生のカマスとはまた違った魅力があります。

フライにすると白身のふわふわ感を楽しめる

カマスのフライは、白身魚のフライの中でもとりわけ身がふわふわに仕上がります。三枚におろしたカマスに塩こしょうを振り、小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣をつけて、170〜180℃の油で3〜4分揚げれば完成です。

カマスは身が薄めなので、揚げすぎるとパサつきます。衣がきつね色になったらすぐに引き上げるのがポイントです。身の薄さが逆にメリットになり、衣のサクサク感と身のふわっとした食感のコントラストを楽しめます。

タルタルソースやウスターソースはもちろん、レモンと塩だけで食べてもカマスの風味が引き立ちます。アジフライとはまた違った上品な味わいで、子どもにも食べやすい調理法です。骨が気になる場合は、血合い骨を丁寧に取ってから衣をつけてください。

📌 カマスの調理法を選ぶ目安

・脂がのった秋のアカカマス → 焼き霜造り(刺身)で皮の旨みを堪能
・春〜夏のアカカマス、またはヤマトカマス → 塩焼き・干物・フライなど加熱調理が向く
・鮮度に不安がある場合 → 迷わず加熱調理を選ぶ(塩焼き・フライ・煮付けなど)
・たくさん手に入ったとき → 一夜干しにして冷凍保存すると長く楽しめる

まとめ|カマスの刺身を家庭で安全においしく楽しむコツ

カマスの刺身は、鮮度のよいアカカマスを正しくさばき、皮目を炙って焼き霜造りに仕上げることで、家庭でもお店のような一皿が作れます。皮の香ばしさととろりとした身の甘みが合わさった焼き霜造りは、一度食べると「カマスの刺身ってこんなにおいしかったのか」と驚くはずです。刺身で楽しむなら、脂がもっともる秋(9月〜11月)のアカカマスを狙うのがベストです。

この記事のポイントを整理しておきます。

  • カマスの刺身は皮付きで仕上げるのが鉄則。焼き霜造り・湯引き・昆布締めの3つの仕上げ方がある
  • 刺身に向くのはアカカマス(本カマス)。ヤマトカマス(ミズカマス)は水分が多く干物向き
  • スーパーでは目の澄み・エラの赤さ・腹の張りの3点で鮮度を見極める
  • カマスは鮮度劣化が速いため、購入後すぐに内臓を取り除き、0℃前後で保管する
  • 三枚おろしは中骨に刃先を当てる感覚を保ち、包丁の重みだけで切り進める
  • アニサキスはマイナス20℃以下で24時間以上の冷凍、または60℃以上1分以上の加熱で死滅する。酢やわさびでは死なない
  • 刺身以外にも塩焼き・干物・フライなど、カマスはどんな調理法でもおいしく食べられる万能な魚

まずはスーパーの鮮魚コーナーで、秋口に並ぶアカカマスを探してみてください。目が澄んでいて腹に張りがある1尾を見つけたら、思い切って丸ごと買って帰り、この記事の手順で焼き霜造りに挑戦してみましょう。包丁を入れるのが初めてでも、カマスは体長30〜40cmと扱いやすいサイズなので、三枚おろしの練習にもちょうどよい魚です。皮を炙ったときに立ちのぼる香ばしい脂の香りが、きっとカマスの刺身の世界に引き込んでくれるはずです。

※食品の鮮度や安全性に関する最新情報は、厚生労働省や各自治体の食品安全情報をご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

魚の食べ方・さばき方・種類の違いから雑学まで、魚にまつわるすべての疑問に答える図鑑メディアです。スーパーの鮮魚コーナーで「この魚どうやって食べるの?」と迷ったとき、釣った魚を持ち帰って「さばき方がわからない」と困ったとき、お役に立てれば幸いです。運営は株式会社てまひま(名古屋市)。

コメント

コメントする

目次