スーパーの鮮魚コーナーで「青魚は体にいい」とよく聞くけれど、秋刀魚(さんま)もその仲間なのか、ピンとこない人は多いはずです。背中が青光りしている細長いあの魚は、たしかに青魚の一員です。それも、DHA・EPAという「体にうれしい脂」の量で見ると、サバ・アジ・イワシといった青魚御三家を上回る実力派なんです。
結論を先にお伝えすると、生の秋刀魚100gにはDHAが約2200mg、EPAが約1500mg含まれ、合計でおよそ3700mg。これは青魚の中でも飛び抜けた数値です。なぜそれほど脂がのるのか、いつ・どう選べば一番おいしい個体に出会えるのか。この記事では栄養データと生態の両面から、秋刀魚という青魚を丸ごと解説します。
魚種ごとの数値はすべて水産庁関連団体や食品成分データを確認したうえで載せています。読み終わるころには、秋の食卓で秋刀魚を選ぶ目が変わっているはずです。
・秋刀魚が青魚に分類される理由と、背が青い体の秘密
・秋刀魚のDHA・EPAやビタミンの具体的な数値
・青魚御三家(サバ・アジ・イワシ)と秋刀魚の脂の違い
・脂がのった旬の秋刀魚をスーパーで見分けるコツ
秋刀魚が青魚に分類される理由|背中の青には意味がある
秋刀魚はニシン目ではなくダツ目サンマ科の魚ですが、まぎれもなく青魚の仲間です。青魚というのは生物学上の正式な分類名ではなく、「背が青く、腹が銀白色の、おもに群れで泳ぐ大衆魚」をまとめた呼び名。アジ・サバ・イワシ・サンマなどが代表格です。まずは「なぜ青いのか」「なぜ青魚とくくられるのか」から見ていきましょう。
そもそも青魚に厳密な定義はない
青魚に学術的な線引きはありません。一般には背側が青緑色で腹側が銀白色、紡錘形(円柱の両端がすぼまった形)で群れをなして回遊する魚を指します。秋刀魚は体長30cm前後の細長い体に、背が青光りし腹が銀色という典型的な青魚カラーを備えています。スーパーで「青魚かどうか」を迷ったら、背中の色と体型を見るのが手っ取り早い判断材料です。アジやサバと同じ棚に並ぶ理由が、見た目からも納得できます。ちなみに「青魚」は赤身魚(血合いが多くミオグロビンに富む魚)と重なる部分が大きく、秋刀魚やイワシは赤身寄りの身質です。見た目の色と身の色は別の話で、青魚という言葉はあくまで見た目と暮らし方でくくった生活実感に近い呼び名だと考えると、すっきり理解できます。
背が青く腹が銀色なのは身を守るカモフラージュ
背中の青は、海の表層を泳ぐ魚に共通する保護色です。上空の鳥から見下ろされたとき、青い背は深い海の色に溶け込みます。逆に海中の捕食者から見上げられたとき、銀白色の腹は明るい水面の光にまぎれます。この上下二色の塗り分けを「カウンターシェーディング」と呼びます。秋刀魚は外敵の多い表層(昼間は水深10〜15m付近)を群れで泳ぐため、この体色が生き残りに直結しているわけです。なお、この青色は鮮度が落ちると急速にくすんでいくため、見分けの目安にもなります。買ったばかりの秋刀魚が金属的な青の輝きを放っているのは、鮮度がよい証拠でもあるのです。色には意味があると知ると、鮮魚売り場の青光りも違って見えてきます。
青魚に脂とDHA・EPAが多いのは回遊魚だから
青魚にDHA・EPAが豊富なのは、長距離を泳ぐ回遊魚としての生き方と関係しています。冷たい海でも体を動かし続けるには、低温で固まりにくい不飽和脂肪酸を身に蓄える必要があります。DHA・EPAはまさにその性質を持つ脂で、寒い海域を回遊する青魚ほど多く含む傾向があります。秋刀魚は黒潮周辺で生まれ、エサの多い冷たい親潮へ北上する「索餌回遊」をするため、脂をしっかり蓄えます。青魚の栄養価の高さは、その過酷な旅の副産物なのです。
青魚は「背が青く腹が銀色、群れで回遊する魚」のゆるい総称。秋刀魚はダツ目サンマ科ですが、体色も生態も典型的な青魚で、回遊魚ならではの豊富な脂が最大の魅力です。
青魚にどんな魚がいるのか、御三家や隠れ青魚まで一覧で知りたい人は、こちらの記事も参考になります。

「青魚って、結局どの魚のこと?」と聞かれて、パッと答えられる人は意外と少ないかもしれません。スーパーの鮮魚コーナーで見かけるサバやイワシ、サンマはもちろん青魚で…
秋刀魚の栄養は青魚トップクラス|DHA2200mgの実力
秋刀魚の栄養面での主役は、なんといってもDHA・EPAです。生100gあたりDHA約2200mg、EPA約1500mgという数値は、青魚の中でも群を抜いています。脂質そのものも多く、旬の秋刀魚はエネルギーもしっかり摂れる魚です。ここでは食品成分データで確認できた数値をもとに、何がどれだけ摂れるのかを具体的に見ていきます。
| 分類 | ダツ目サンマ科サンマ属 |
| エネルギー | 297kcal |
| タンパク質 | 17.6g |
| 脂質 | 23.6g(うちDHA約2200mg・EPA約1500mg) |
| ビタミンB12 | 15.4μg |
| ビタミンD・カルシウム・鉄 | D 14.9μg/Ca 26mg/鉄 1.3mg |
DHA2200mg・EPA1500mgは青魚の中でも飛び抜けている
秋刀魚の最大の武器は、生100gあたりDHA約2200mg・EPA約1500mgという脂の量です。DHAとEPAはどちらもn-3系(オメガ3)の多価不飽和脂肪酸で、体内ではほとんど合成できないため食事から摂る必要があります。DHAは主に脳や神経、目の網膜に多く存在する成分、EPAは血液に関わる成分として知られ、いずれも青魚に多いことから注目されてきました。後ほど比較しますが、この合計約3700mgという数値は、サバ・イワシといった脂の多い青魚をも上回ります。脂がのる秋(9〜10月)の個体ほど含有量は高まる傾向があるので、旬に食べるのが栄養面でも理にかなっています。なお具体的な健康効果については個人差があり、断定はできませんが、「青魚を食べるとよい」と言われる根拠の一つがこのDHA・EPAの多さです。
ビタミンB12は青魚の中でも豊富で貧血対策の味方
秋刀魚100gにはビタミンB12が15.4μgと、青魚の中でも多く含まれます。ビタミンB12は赤血球の生成に関わる栄養素で、不足すると貧血の一因になることが知られています。さらにビタミンDも14.9μgと豊富で、これはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。ビタミンDは日光を浴びて体内でもつくられますが、食事から摂れる魚は貴重な供給源です。秋刀魚を骨ごと食べる工夫をすれば、カルシウム(100gあたり26mg)とビタミンDをセットで摂れるのも利点です。塩焼きの中骨まわりや、骨までやわらかく煮た梅煮、缶詰なら無理なく骨ごといけます。1尾食べれば、これらの栄養素をまとめて補える計算になります。
脂が多くてもタンパク質はしっかり摂れる
秋刀魚は脂質が23.6gと多い一方で、タンパク質も17.6gとしっかり含みます。「脂が多い=高カロリーなだけ」ではなく、体をつくるタンパク質源としても優秀です。なお脂質量は時期で大きく変わり、旬の個体は脂が増えてカロリーも上がります。ダイエット中で脂質を抑えたい場合は、脂が落ちる焼き調理を選ぶ、旬を少し外した個体を選ぶといった調整も可能です。栄養の多さは裏を返せばカロリーの高さでもあるので、量は体調に合わせて加減しましょう。
DHA・EPAは焼くと1〜2割減るので調理法で工夫する
秋刀魚のDHA・EPAは熱に弱く、網で焼くと脂と一緒に1〜2割ほど流れ落ちます。塩焼きの香ばしさは捨てがたいですが、脂を余さず摂りたいなら刺身や、煮汁ごと食べられる煮付け・つみれ汁が向いています。缶詰(水煮)も汁にDHA・EPAが溶け込んでいるので、汁ごと使うのがコツです。「焼くと減る」と知っておくと、その日の目的に合わせて調理法を選べます。香ばしさを取るか、脂を丸ごと取るか――これは好みで決めて構いません。
青魚御三家と秋刀魚を比べてわかる脂の違い
「青魚といえばサバ・アジ・イワシ」と言われますが、この御三家と秋刀魚を脂の量で並べると、秋刀魚の個性がくっきり見えてきます。同じ青魚でも、DHA・EPAの量も旬の季節もバラバラ。ここでは数値で横並びにして、どの魚をいつ食べると何が摂れるのかを整理します。
| 魚種(生100g) | DHA | EPA | DHA+EPA | 主な旬 |
|---|---|---|---|---|
| サンマ | 約2200mg | 約1500mg | 約3700mg | 9〜10月 |
| マサバ | 約970mg | 約690mg | 約1660mg | 秋〜冬 |
| マイワシ | 約870mg | 約780mg | 約1650mg | 初夏〜秋 |
| マアジ | 約570mg | 約300mg | 約870mg | 春〜夏 |
| カツオ(戻り) | 約970mg | 約400mg | 約1370mg | 秋 |
※生の可食部100gあたりの数値(さかなのさ調べ/食品成分データ・DHA・EPA含有量比較より)。脂質量は時期や個体で変動します。
DHA・EPAの合計量は秋刀魚が御三家を上回る
表の通り、DHA・EPAの合計量は秋刀魚が約3700mgで頭一つ抜けています。御三家のマサバは約1660mg、マイワシは約1650mg、マアジは約870mg。脂の多いイメージのサバやイワシでも、旬の秋刀魚の半分以下です。この差は、秋刀魚が産卵前に脂を最大限ためこむ「秋の回遊魚」だからこそ生まれます。ただし数値はあくまで脂がのった状態の目安で、時期や産地で上下します。「青魚の中で脂が一番多いのは?」と聞かれたら、旬の秋刀魚と答えて間違いありません。
御三家とは旬がずれるから一年中青魚を楽しめる
面白いのは、青魚どうしで旬がきれいにずれている点です。マアジは春〜夏、マイワシは初夏〜秋、秋刀魚とマサバ・戻りガツオは秋、寒サバは冬。つまり季節をリレーするように旬が巡るので、その時々で一番脂ののった青魚を選べば、一年を通してDHA・EPAを効率よく摂れます。秋はまさに秋刀魚の独壇場。春や夏に物足りなければアジやイワシ、と覚えておくと買い物がスムーズです。青魚は「今が旬の一種類」を狙うのが、味でも栄養でも正解です。
用途で選ぶなら脂の量と身質で考える
同じ青魚でも、料理によって向き不向きがあります。脂をダイレクトに味わう塩焼きや刺身なら、脂の多い旬の秋刀魚やマイワシが主役級。さっぱり食べたい南蛮漬けやなめろうにはマアジ、しめ鯖やみそ煮には身のしまったマサバが定番です。カツオはたたきにすると香りが立ちます。「脂が多い=偉い」ではなく、料理に合う脂の量で選ぶのがコツ。秋刀魚は脂が多いぶん、塩焼き・刺身・蒲焼きといった脂を活かす料理で本領を発揮します。
旬の秋刀魚はなぜ脂がのるのか|生態から読み解く
秋刀魚が秋に脂をたっぷり蓄えるのには、その生き方そのものが関係しています。寿命約2年という短い一生の中で、はるばる北の海まで旅をしてエサを食べ、産卵に備えて脂をためる――その節目がちょうど秋なのです。生態を知ると、なぜ秋の秋刀魚が特別おいしいのかが腑に落ちます。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| △ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
◎=最旬(もっとも脂がのる時期) ○=美味しい △=出回るが旬ではない
旬は9〜10月|産卵前に脂をためこむ時期だから
秋刀魚の旬は9〜10月です。この時期がおいしい理由は、産卵を控えて体に脂を最大限ためこむタイミングだから。北の親潮でたっぷりエサを食べた個体が、産卵のために南下を始める道中で日本近海を通るのが、ちょうど秋にあたります。脂がのった旬の個体は、焼くと皮の下からじゅわっと脂がにじみ、身もふっくらします。逆に旬を外れると脂が抜けてあっさりするので、塩焼きを存分に楽しむなら9〜10月の個体を狙うのが鉄則です。
黒潮で生まれ親潮へ|長距離回遊が脂を育てる
秋刀魚は黒潮周辺の暖かい海で生まれ、成長とともに北上して、エサのプランクトンが豊富な親潮(冷たい海)へ移動します。これを索餌回遊と呼びます。冷たい海でエサを食べ続けるために、低温でも固まらないDHA・EPAを豊富に含む脂を体にためる――これが青魚の脂の正体です。分布は北緯20度から60度近くまでと広大で、日本沿岸からアメリカ沖まで及びます。やがて産卵期が近づくと、今度は親潮の流れに沿って千島列島の沖合を南西へ下りはじめ、その通り道で日本の食卓に届くというわけです。北の海でたっぷり蓄えた脂を抱えたまま南下してくるからこそ、秋の三陸沖などで獲れる秋刀魚は格別なのです。秋刀魚の脂の豊かさは、この壮大な回遊の旅が生み出したものなのです。
体長30cm前後・寿命約2年の短い一生
秋刀魚は成魚で体長30cm前後、大きくても35cm程度で、寿命は約2年と短命です。生まれて最初の1年で27〜28cmまで成長し、早い個体はこの段階で成熟します。短い一生で効率よく子孫を残すため、産卵前にぐっと脂をためる――その仕上がりが秋の旬というわけです。スーパーで30cmを超える大ぶりの個体に出会えたら、しっかり育った1歳魚以上の証。産卵は秋から春にかけて複数回に分けて行われ、1回に500〜4000個ほどの卵を産むとされ、短命ながら多産な魚です。サイズと脂のりはおおむね比例するので、大きめを選ぶのも一つの手です。
実は近年は漁獲量が大きく変動している
意外と知られていませんが、秋刀魚の資源量はここ十数年で大きく揺れ動いています。かつては豊漁が当たり前でしたが、海水温の変化や回遊ルートの変動などにより、不漁の年が報じられることも増えました。資源量の調査では、年によって数倍規模で増減することも確認されています。日本近海の秋刀魚は資源を守るため、水産庁によって漁獲可能量(TAC制度)が管理されています。「昔より高くなった」「サイズが小さい」と感じるのは気のせいではなく、こうした背景があるためです。だからこそ、脂ののった大ぶりの一尾に出会えた年は幸運。安く買えた年こそ、旬の塩焼きを存分に味わっておきたいところです。
スーパーで脂ののった秋刀魚を見分ける3つのコツ
同じ秋刀魚でも、脂ののりや鮮度は個体差が大きいもの。せっかく旬に買うなら、太って脂をたっぷりまとった一尾を選びたいですよね。プロが見ているポイントは、口先・体の厚み・目の3か所。どれも特別な道具なしで、売り場でパッと判断できます。
口先が黄色い個体は脂がのっている合図
脂ののった秋刀魚を見分ける一番わかりやすいサインが、口先(下あごの先端)の色です。脂が十分にのった鮮度のよい個体は、口先がほんのり黄色〜オレンジ色に染まっています。逆に脂が少なかったり鮮度が落ちたりすると、この黄色みは薄れていきます。スーパーでトレーに並んだ秋刀魚を見比べて、口先が色づいているものを選ぶのがコツです。すべての個体に当てはまるわけではありませんが、迷ったときの有力な手がかりになります。
背中が盛り上がって太い個体ほど脂がのる
体型も大事な判断材料です。脂がのった秋刀魚は、背中(頭の後ろから背びれにかけて)がこんもり盛り上がり、全体に厚みがあります。横から見て背が高く、ずんぐりした個体ほど脂をたっぷり蓄えています。よく言われる目安が「頭の後ろの盛り上がり」で、ここが角張って高く見えるほど脂がのっています。逆に細くてスマートな個体は、脂が抜けてあっさり気味のことが多いです。手に取れる場合は、つまんでみて身がパンと張っているかも確かめましょう。同じ値段なら、少しでも太く重みのある個体を選ぶほうが満足度は高くなります。塩焼きでじゅわっとした脂を楽しみたいなら、迷わず太い個体を選んでください。
目が澄んで黒目がはっきりしているのが新鮮な証
鮮度は目に出ます。新鮮な秋刀魚は、目が透き通っていて黒目がくっきり、白目部分も濁っていません。時間が経つと目が白く濁り、赤みがかってきます。あわせて、体表に青光りするツヤがあり、お腹がしっかり固いものを選びましょう。お腹がやわらかく崩れているものは、内臓から傷み始めているサインです。秋刀魚は鮮度落ちが早い青魚なので、目とお腹の張りはセットでチェックすると失敗しません。
「大きければ脂ものっているだろう」と体長だけで選び、帰って焼いたら身がパサついていた――というのはよくある失敗です。原因は、サイズは大きくても脂が抜けた個体だったこと。大きさだけでなく、背中の厚み・口先の黄色み・お腹の張りを合わせて見れば、脂ののった一尾を選べます。
青魚は鮮度落ちが早い|ヒスタミンとアニサキスに注意
栄養豊富な青魚ですが、鮮度の落ちやすさという弱点もあります。秋刀魚をはじめ青魚は傷みが早く、扱い方しだいで食中毒のリスクが上がる点は正直にお伝えしておきます。ここでは家庭でできる予防策を、ヒスタミンとアニサキスの両面から整理します。難しくはありませんが、知らないと損をする部分です。
常温放置はヒスタミン生成のリスクを高める
青魚は、鮮度が落ちる過程でヒスタミンという物質が増えることがあります。ヒスタミンは加熱しても分解されにくいため、生成させないことが何より大切です。ポイントは、買ったらすぐ冷蔵・冷凍し、常温で長く放置しないこと。とくに夏場や暖かい室内に長時間置くのは避けましょう。秋刀魚は脂が多く傷みやすいので、買い物の最後にカゴへ入れ、帰宅後すぐ冷蔵庫へ――この流れを習慣にするだけで、リスクをぐっと下げられます。
刺身にしようと買った秋刀魚を、調理まで台所に2時間ほど置いてしまう――これは避けたい行動です。常温放置はヒスタミン生成のリスクを高めます。対策は、使う直前まで冷蔵庫(できれば氷の上)で保管し、室温に出す時間を最小限にすること。体調に不安を感じた場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
アニサキスは目視・冷凍・加熱で予防する
秋刀魚をはじめ青魚には、アニサキスという寄生虫がいることがあります。一般的な予防策は、目視でよく確認すること、生で食べるなら中心まで凍る冷凍(家庭では設定温度に注意)、そして十分な加熱です。アニサキスは内臓に多くいて、魚が死ぬと身のほうへ移動することがあるため、鮮度が落ちる前に早めに内臓を取り除くことも予防につながります。さばくときは内臓まわりをよく見て、白い糸状のものがいないか確認しましょう。明るい場所で見ると見つけやすくなります。塩焼きのようにしっかり火を通す調理なら、加熱によるリスク低減が期待できます。生食する場合は、新鮮なうちに内臓を取り除き、よく見て調理することが基本です。心配な場合は無理をせず、加熱調理を選ぶのが安心です。
秋刀魚を焼いたあとのアニサキスがどうなるのか、見つけたときの対処を詳しく知りたい人は、こちらの記事が参考になります。

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保存は氷温・冷凍を使い分けて鮮度を守る
秋刀魚を買ったその日に食べきれないときは、保存方法を工夫しましょう。1日で食べるならチルド室など低温で、それ以上なら早めに冷凍するのが基本です。冷凍する際は内臓を取り、水気を拭いて1尾ずつラップで包み、さらに保存袋に入れて空気を抜くと、脂の酸化や匂い移りを抑えられます。解凍は冷蔵庫でゆっくり戻すとドリップ(うまみを含む水分)の流出を抑えられます。脂の多い青魚は時間とともに脂が酸化して風味が落ちるので、長期保存には向きません。消費期限の断定は避けますが、「青魚は早めに食べきる」を基本姿勢にしておくと安心です。鮮度に少しでも不安を感じたら、生食は避けて加熱調理に回しましょう。
秋刀魚の栄養を逃さない食べ方|目的別の使い分け
秋刀魚は塩焼きが王道ですが、目的によって最適な食べ方は変わります。香ばしさを取るか、脂とDHA・EPAを丸ごと取るか――それぞれに合う調理法があります。ここでは「栄養を逃さない」視点も交えて、シーン別のおすすめを紹介します。
塩焼きは香ばしさ重視|脂は1〜2割落ちる前提で
秋刀魚といえばやはり塩焼き。皮はパリッと、身はふっくら、にじむ脂の香ばしさは旬ならではのごちそうです。焼く30分ほど前に塩を振っておくと余分な水分と臭みが抜け、皮が締まってきれいに焼き上がります。ただし前述の通り、網で焼くとDHA・EPAは1〜2割ほど落ちます。それでも残る栄養は十分多く、香ばしさという満足感が大きいので、塩焼きは「おいしさ優先」の食べ方と割り切ってOK。大根おろしとすだちを添えれば、脂の重さもさっぱり中和でき、消化を助ける薬味としても理にかなっています。焼きたてを熱いうちに食べるのが、いちばんのごちそうです。
刺身・なめろうは脂とDHA・EPAを丸ごと摂れる
脂とDHA・EPAを余さず摂りたいなら、生で食べる刺身やなめろうが向いています。加熱しないぶん、脂に含まれるDHA・EPAをそのまま摂取できるのが利点です。新鮮な旬の秋刀魚が手に入ったら、頭を左に置いて腹側から包丁を入れて三枚におろし、皮を引いて薄めにそぎ切りにします。しょうがやみょうが、ねぎといった薬味でいただくと、青魚特有の風味がやわらぎ、脂の甘みが引き立ちます。なめろうにすれば薬味と味噌が臭みを抑え、小骨ごと食べられて食感も楽しめます。ただし生食は鮮度とアニサキス対策が前提。鮮度に自信が持てないときは、無理せず加熱調理に切り替えるのが賢明です。
煮付け・缶詰は煮汁ごとで栄養を逃さない
「焼くと脂が落ちるのはもったいない、でも生は不安」という人には、煮汁ごと食べられる調理がおすすめです。梅煮やしょうが煮にすれば、溶け出した脂やDHA・EPAも煮汁ごと摂れます。市販の水煮缶も同じ理屈で、汁にうまみと栄養が溶けているので、汁ごと炊き込みご飯や味噌汁に使うのが正解。骨までやわらかい缶詰なら、カルシウムも一緒に摂れます。加熱しつつ栄養を逃さない、いいとこ取りの食べ方です。
状況別|旬は塩焼き、通年は缶詰でDHA・EPA補給
食べ方は状況で使い分けるのが賢いやり方です。脂がのる9〜10月の旬は、迷わず塩焼きや刺身で「鮮魚の秋刀魚」を堪能する。旬を過ぎた時期やDHA・EPAを手軽に補いたい日は、汁ごと使える水煮缶が便利です。塩蔵された塩さんまも、塩抜きをすれば焼き物として一年中楽しめます。「旬は生鮮、それ以外は加工品」と覚えておけば、秋刀魚の栄養を年間を通じて取り入れられます。青魚はライフスタイルに合わせて柔軟に付き合うのがコツです。
塩さんまをおいしく焼くための塩抜きのコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。

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まとめ|秋刀魚は脂が主役の青魚、旬の塩焼きから始めよう
秋刀魚はダツ目サンマ科の魚ですが、背が青く腹が銀色という体色も、群れで長距離を回遊する生態も、まぎれもなく青魚です。そして生100gあたりDHA約2200mg・EPA約1500mg、合計約3700mgという脂の量は、サバ・アジ・イワシといった御三家を上回る青魚トップクラス。寒い海を旅する回遊魚だからこそ蓄える、その豊かな脂が最大の魅力です。
おいしく安全に味わうために、要点を振り返っておきましょう。
- 秋刀魚は背が青く腹が銀色、群れで回遊する典型的な青魚
- DHA・EPA合計約3700mgは青魚の中でも飛び抜けて多い
- ビタミンB12 15.4μg・ビタミンD 14.9μgも豊富に含む
- 旬は9〜10月、産卵前に脂をためこむ時期だから一番おいしい
- 選ぶときは口先の黄色み・背中の厚み・目の澄み具合を見る
- 青魚は鮮度落ちが早く、常温放置はヒスタミン生成のリスク
- 焼くとDHA・EPAは1〜2割減る、丸ごと摂るなら刺身や煮汁ごと
まずは秋の鮮魚コーナーで、口先が黄色く背中の太った一尾を選ぶことから始めてみてください。脂ののった旬の秋刀魚を塩焼きにすれば、青魚の実力をいちばんシンプルに味わえます。栄養を逃したくない日は刺身や水煮缶を、と使い分ければ、秋刀魚という優秀な青魚を一年を通じて楽しめます。体調に不安があるときは無理をせず、心配な場合は医療機関を受診してください。
参考:全国さんま棒受網漁業協同組合「生物学」/※最新の漁獲・資源情報は水産庁など公式サイトでご確認ください。
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