マルソウダとヒラソウダの違いは3つ|見分け方・旬・刺身で美味いのはどっちを徹底解説

スーパーの鮮魚コーナーや釣りの帰り、「ソウダガツオ」とだけ書かれた小型のカツオを見て、これがマルソウダなのかヒラソウダなのか迷ったことはありませんか。見た目はそっくりですが、この2種は味も旬も使い道も大きく違い、片方は刺身の絶品、もう片方は宗田節(そうだぶし)の主役という、まるで性格の違う魚です。

結論から言うと、見分けの決め手は「有鱗部(ウロコの帯)の形」「体の高さ」「エラ蓋の黒い模様」の3か所。脂がのって刺身で美味しいのはヒラソウダ、濃厚なダシの原料に向くのがマルソウダです。どちらも赤身魚なので、おいしく安全に食べるには鮮度管理が欠かせません。

この記事では、魚好きの友人が台所で隣に立って教えるつもりで、2種の見分け方から旬・味の違い、さばき方、料理での使い分け、そしてヒスタミン食中毒を避ける鮮度管理まで、ソウダガツオのすべてを順番に解説します。次にこの魚を手に取ったとき、もう迷わなくなるはずです。

📌 この記事でわかること

・マルソウダとヒラソウダを一発で見分ける3つのポイント
・刺身で美味しいのはどっち?味と旬が真逆になる理由
・なぜマルソウダは宗田節になるのか
・赤身魚を安全に食べるためのヒスタミン対策と鮮度管理

目次

マルソウダとヒラソウダは同じ「ソウダガツオ」の2種類

まずは2種の正体を整理しておきましょう。マルソウダもヒラソウダも、どちらもサバ科ソウダガツオ属に分類される近縁種で、ひとまとめに「ソウダガツオ」と呼ばれます。カツオの仲間ですが本ガツオ(カツオ)とは別属で、ひと回り小ぶりな魚です。

ソウダガツオはマルとヒラの2種をまとめた呼び名

「ソウダガツオ」という名前の魚は存在せず、これはマルソウダ(学名Auxis rochei)とヒラソウダ(学名Auxis thazard)の2種をまとめた総称です。どちらもサバ科マグロ族ソウダガツオ属に属し、外見がよく似ているため市場でも区別せず「ソウダ」「ソウダガツオ」と売られることが少なくありません。理由は単純で、漁獲時に群れで一緒に獲れ、サイズも近いため、選別の手間をかけずまとめて流通させることが多いからです。スーパーで「ソウダガツオ」とだけ表示されていたら、マルとヒラのどちらか、あるいは両方が混ざっていると考えてよいでしょう。見分けたいなら、自分でポイントを押さえるしかありません。豆知識として、ヒラソウダは目から口先までが短いことから「メヂカ(目近)」とも呼ばれ、地域によって呼び名が入り混じる点も混乱のもとになっています。

体長はマル55cm・ヒラ60cm前後|カツオより小ぶり

サイズ感はどちらも近く、マルソウダが全長55cm前後、ヒラソウダが全長60cm前後まで成長します。本ガツオが1mを超えることを考えると、ソウダガツオはかなり小型の部類です。マルソウダの成長は1年で約25cm、2年で約33cm、3年で約40cmというペースで、市場に並ぶのは体長40cm・重さ1〜2kg前後の個体が中心になります。釣りでよく釣れるのは30cm前後の若い個体で、堤防からのサビキやルアーにも群れで掛かります。注意したいのは、サイズだけでマルとヒラを見分けようとしないこと。両種はサイズが重なり合っているため、大きさは決め手になりません。あくまで体の形や模様で判断するのが正解です。大きくなるほど脂がのる傾向はヒラソウダで顕著なので、刺身狙いなら大型のヒラを選ぶのがコツです。

分布は北海道〜九州|温暖な沿岸の表層を回遊する

どちらも温暖な海を好む回遊魚で、分布は北海道から九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、屋久島や琉球列島、小笠原諸島まで広がります。世界的にも温帯から熱帯の海に広く生息しています。両種とも沿岸の表層を群れで泳ぎながら小魚を追って捕食しますが、比べるとヒラソウダのほうがより沿岸寄りを回遊する性質があります。そのため堤防釣りで足元近くまで回ってくるのはヒラソウダが多い、という地域もあります。回遊魚なので旬や釣れる時期は地域差が大きく、南の海域から順に水温の上昇とともに群れが北上していきます。釣り場の漁協や釣り情報で「ソウダの回遊が始まった」という知らせが回るのはこの時期です。最新の回遊状況は、お住まいの地域の漁協公式情報などで確認するのが確実です。

🐟 魚スペックカード|ヒラソウダ

分類 スズキ目サバ科ソウダガツオ属
秋〜冬(晩秋〜冬がもっとも美味)
大きさ 全長60cm前後
生息域 北海道〜九州南岸の沿岸表層
味の特徴 脂がのり旨み濃厚。血合いは少なめ
おすすめ調理法 刺身、たたき、漬け丼

見た目で見分ける3つの決定的ポイント

そっくりに見えるマルソウダとヒラソウダも、3か所を押さえれば確実に見分けられます。決め手は「有鱗部の形」「体の高さ」「エラ蓋の黒い模様」。一つずつ手元の魚で確認していきましょう。

最大の決め手は「有鱗部」の形|糸状に細くなるのがヒラ

もっとも確実なのが、背中側にあるウロコの帯「有鱗部(ゆうりんぶ)」の形です。ソウダガツオの体はほとんどウロコがなく、胸から背にかけての一部だけにウロコが残っており、この帯の伸び方が2種で明確に違います。ヒラソウダは、第一背ビレと第二背ビレのちょうど中間あたりで有鱗部が急に細くなり、そこから糸のように細い線となって尾の方へ続きます。一方マルソウダは、有鱗部が第一背ビレの後方から第二背ビレを遥かに越えて、なだらかに幅を保ったまま続いていきます。見るべきは「背ビレの間でスッと糸状に細くなる(ヒラ)か、太いまま続く(マル)か」。この一点だけでもほぼ判別できる、もっとも信頼できる見分け方です。魚を裏返さず背側を上から眺めるだけで確認できるので、まずここを見ましょう。

体の高さで見分ける|丸いマル・平たいヒラ

名前がそのまま特徴を表しているのが体型です。マルソウダは「丸」の名の通り体が円筒形に近く、寸胴でスマート。輪切りにすると断面がほぼ丸になります。対してヒラソウダは「平」の名の通り体高があり、左右にやや平たく側扁しているため、輪切りにすると楕円形になります。横から見比べると、ヒラソウダのほうが腹から背までの高さがあって、ずんぐりと本ガツオに近い体つきに見えます。ただし体型は個体差や鮮度による身の張りでも印象が変わるため、これ単独で断定するのは禁物です。やりがちな失敗が、1匹だけを見て「なんとなく丸いからマル」と決めつけること。複数匹あるときは並べて比べると差が分かりやすく、有鱗部の形と合わせて判断すると確実です。2つの特徴が一致して初めて自信を持って言える、と覚えておきましょう。

エラ蓋の黒い斑紋|背中とつながるのがマル

3つ目のポイントが、エラ蓋(鰓蓋)の上端にある暗色の斑紋です。マルソウダはこの黒い模様が背中側の暗色部とつながって一続きに見えます。一方ヒラソウダは、エラ蓋の斑紋が背中の暗色部からわずかに離れていて、間に隙間があるように見えます。「黒い模様が背中とくっついているか(マル)、離れているか(ヒラ)」という違いです。実際に手に取ったら、エラの上のあたりに目を近づけて模様の連続性をチェックしてみてください。ここも有鱗部・体型と合わせて見れば、3点が揃って確実な判定になります。豆知識として、ヒラソウダの幼魚は体高があって体が白っぽいことから「しろす(白すま)」と呼ばれることがあります。スマという別の魚(ヤイトガツオ)とも姿が紛らわしいので、模様や斑点の位置までしっかり見比べるのが間違えないコツです。

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比較項目 マルソウダ ヒラソウダ
有鱗部 第二背ビレを遥かに越え太いまま続く 背ビレ間で糸状に細くなる
体型 円筒形・断面は丸 体高あり・断面は楕円
エラ蓋の斑紋 背中とつながる 背中から離れる
血合い 多い 少なめ

※さかなのさ調べ(市場魚貝類図鑑・三重県漁連の情報をもとに作成)

味と旬は真逆|刺身で美味いのはどっち?

見た目以上に違うのが味と旬です。同じソウダガツオでも、刺身で輝く魚と、ダシで輝く魚にきれいに分かれます。ここがこの2種を見分ける最大の実益と言ってもいいでしょう。

刺身ならヒラソウダ|晩秋〜冬は「トロガツオ」

刺身でおいしいのは断然ヒラソウダです。理由は脂ののりと血合いの量。ヒラソウダはマルソウダに比べて血合いが少なく、晩秋から冬にかけてしっかり脂がのるため、その時期のものは「トロガツオ」と呼ばれるほど。丁寧に血抜きして持ち帰った旬のヒラソウダの刺身は、本ガツオに匹敵すると評する人もいるほどの旨さです。スーパーで刺身用を選ぶなら、できるだけ体高のあるヒラソウダで、身に張りがあり血合いの色が鮮やかなものを。注意点として、ソウダガツオは身質がやわらかく鮮度落ちが早いので、刺身で食べるのは入手したその日が基本です。少しでも生臭さを感じたら、無理に生食せず加熱調理に回しましょう。釣り人の間では「刺身で美味いのはどっち」の答えは長くヒラ、というのが定説になっています。

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マルソウダは血合いが多くダシ向き|生は鮮度勝負

マルソウダは身の多くを血合いが占めているのが特徴で、ここに旨み成分が詰まっている反面、鮮度が落ちると独特の生臭さが出やすい魚です。だからこそマルソウダは生食より、濃厚な風味を活かす加熱料理やダシ素材に向いています。とはいえ、釣ってすぐにしっかり血抜き・冷却したマルソウダなら、たたきやなめろうで力強い旨みを楽しめます。鮮度が抜群の個体限定、と考えてください。逆張りの視点を一つ。「マルソウダは雑魚」「血合いだらけで美味しくない」と敬遠されがちですが、それは鮮度管理がされていない流通品を食べた印象が広まっているだけ。釣り場で完璧に処理されたマルソウダの旨さは、知る人ぞ知るごちそうです。鮮度さえ担保できれば、評価がひっくり返る魚なのです。

旬が逆|ヒラは秋冬・マルは春初夏

意外と知られていないのが、2種の旬が逆だという事実です。ヒラソウダの旬は秋から冬、特に脂がのる晩秋から冬がベスト。一方マルソウダの旬は春から初夏とされています。つまり、おなじ「ソウダガツオ」でも季節によって店頭に並ぶ主役が入れ替わっている可能性があるわけです。秋冬にスーパーで脂ののったソウダを見かけたらヒラソウダの可能性が高く、刺身を狙うチャンス。春先のソウダはマルソウダが多めと考え、加熱やダシ向きに使うと失敗しません。産卵期はヒラソウダで夏から初秋にあたり、産卵後の魚は身が痩せて味が落ちます。旬と産卵期を頭に入れておくと、買うタイミングと食べ方の判断がぐっと正確になります。

🗓 旬カレンダー|ヒラソウダ(刺身向き)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=最旬(もっとも美味しい時期) ○=美味しい △=出回るが旬ではない

なぜマルソウダは「宗田節」になるのか

マルソウダの本当の活躍の場は、刺身でも焼き物でもなく「ダシ」です。血合いの多さという、生食では弱点になりがちな特徴が、節(ふし)になると最大の武器に変わります。ここがマルソウダのいちばん面白いところです。

宗田節は土佐清水市が全国シェア約7割

マルソウダを原料に作られるのが「宗田節(そうだぶし)」です。高知県土佐清水市が一大産地で、宗田節の全国シェアの約7割を占めるとされています。現地ではマルソウダを「メジカ」と呼ぶことから、宗田節は「メジカ節」とも呼ばれます。なぜ土佐清水かというと、黒潮が流れ込む足摺岬周辺はソウダガツオの好漁場で、新鮮なマルソウダが大量に水揚げされるから。原料が地元で安定して手に入る立地が、産地を育てたわけです。スーパーで売られている「そば屋のつゆ」や濃いめのめんつゆの原材料表示を見ると、「そうだかつおぶし」と書かれていることが多く、知らないうちに私たちはマルソウダのダシを口にしています。脇役に見えて、和食のダシ文化を支える重要な存在なのです。

血合いの旨みが濃厚なダシを生む

宗田節がカツオ節より濃く力強いダシになるのは、まさにマルソウダの血合いの多さが理由です。血合い部分には旨み成分やうま味のもとになる成分が豊富で、これが節になることで凝縮され、コクのある濃厚なダシが取れます。カツオ節が上品で香り高い「澄んだ」ダシだとすれば、宗田節は色も味も濃い「骨太」なダシ。そのため、香りより力強さが欲しいそばつゆや、濃い味付けの煮物のダシに重宝されます。プロの料理人がカツオ節と宗田節をブレンドして味の奥行きを出すのも定番の技です。生食では「血合いが多くて……」と敬遠される性質が、ダシの世界では「だからこそ美味い」と評価される。同じ特徴が舞台によって長所にも短所にもなる、魚の面白さが詰まったエピソードです。

家庭でも作れる|手作り宗田だしの楽しみ方

市販の宗田節(削り節)はスーパーやネットで手に入るので、家庭でも本格的なダシを楽しめます。使い方はカツオ節と同じで、沸騰させた湯に削り節を入れて火を止め、数分置いてからこすだけ。カツオ節だけより色が濃く、しっかりした風味のダシが取れるので、年越しそばのつゆや、味の濃い煮物にぴったりです。コツは、上品に仕上げたいときはカツオ節と半々にブレンドすること。宗田節単体だと風味が強すぎる料理もあるからです。注意点として、宗田節は風味が濃い分だけ入れすぎると魚臭さが立つことがあるので、まずは少なめから試すのがおすすめ。手に入ったマルソウダの状態が刺身に不安なときも、いっそ自家製の節やダシ素材として活用する道がある、と知っておくと無駄なく使い切れます。

ソウダガツオを安全に食べる|ヒスタミンに注意

ソウダガツオはマグロやカツオと同じ赤身魚。おいしく食べるうえで避けて通れないのが、赤身魚特有の「ヒスタミン食中毒」への注意です。ここは正しい知識でしっかり予防しましょう。

赤身魚はヒスタミン食中毒のリスクがある

厚生労働省によると、ヒスタミン食中毒はマグロ・カジキ・カツオ・サバ・イワシ・サンマ・ブリ・アジなどの赤身魚やその加工品が主な原因とされています。ソウダガツオも赤身魚なので、同じように注意が必要です。仕組みはこうです。赤身魚には「ヒスチジン」というアミノ酸が多く含まれ、これにヒスタミン産生菌(モルガン菌などの細菌)の酵素が作用すると「ヒスタミン」という物質が作られます。このヒスタミンが多く蓄積した魚を食べると、食後まもなく顔の紅潮やじんましん、頭痛などのアレルギーに似た症状が出ることがあります。とくにソウダガツオは血合いが多く身がやわらかいため、温度管理を怠るとヒスタミンが生成されやすい魚です。怖がりすぎる必要はありませんが、赤身魚という前提を知っておくことが第一歩です。

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ヒスタミンは加熱しても消えない|低温管理が命

覚えておきたい最重要ポイントは、一度できてしまったヒスタミンは加熱しても分解されない、ということです。厚生労働省も、ヒスタミンは熱に安定で調理・加工の工程では除去できないと明記しています。つまり「焼けば大丈夫」は通用しません。だからこそ、ヒスタミンを「作らせない」温度管理がすべてになります。具体的には、魚を入手したらできるだけ早く冷蔵・冷凍し、常温に長く置かないこと。とくに釣った魚は、釣り上げた直後からしっかり冷やすことが肝心です。生成を防ぐ唯一の方法が低温の維持、と理解しておきましょう。唇や舌先にいつもと違うピリピリした刺激を感じたら、それはヒスタミンのサインかもしれません。違和感があれば食べるのをやめる判断が安全です。出典は厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」を参照してください。

失敗例|炎天下の車内に放置でリスク急上昇

ありがちな失敗が、釣ったソウダガツオを十分に冷やさずバケツやクーラーに入れ、炎天下の車内で持ち帰ってしまうケースです。夏場の車内は短時間で高温になり、これはヒスタミン産生菌が活発に働く絶好の条件。エラや内臓を付けたまま常温に置けば、生成リスクはさらに上がります。対策はシンプルで、釣ったらすぐ氷と海水を張ったクーラーで締めて冷やし、できれば現場でエラと内臓を外しておくこと。厚生労働省も、エラと内臓は購入後できるだけ早く除去することを勧めています。持ち帰ったら速やかに冷蔵庫へ。「もったいないから」と中途半端な鮮度の赤身魚を生で食べるのは避け、少しでも不安があれば加熱調理に切り替えましょう。なお、ヒスタミン食中毒は適切な処理で予防できるものの、症状が出て心配な場合は自己判断せず医療機関を受診してください。

⚠️ 注意:赤身魚の鮮度管理

ヒスタミンは加熱しても分解されません。ソウダガツオは入手後すぐに冷やし、エラ・内臓は早めに除去して低温を保つことが予防の基本です。唇や舌先に刺激を感じたら食べるのを中止し、症状が出て心配なときは医療機関を受診してください。

釣ったソウダガツオのさばき方と血抜き

ソウダガツオを美味しく食べられるかどうかは、釣り場での処理とさばき方で9割決まります。鮮度落ちが早い魚だからこそ、手早く正確にさばくことが大切です。

釣ったら即・血抜きと冷却|美味しさはここで決まる

ソウダガツオを持ち帰るなら、釣り上げた直後の血抜きと冷却が何より重要です。やり方は、エラの付け根にナイフを入れて太い血管を切り、海水を張ったバケツで数分泳がせるように振って血を抜きます。その後、氷をたっぷり入れた海水(潮氷)のクーラーに移してしっかり冷やします。血抜きをする理由は、血合いが多いソウダガツオは血が残ると生臭さの原因になり、鮮度低下も早まるから。とくに刺身を狙うヒラソウダは、この一手間で本ガツオに迫る味になるか、生臭い魚で終わるかが分かれます。注意点は、締めと冷却をワンセットで素早く行うこと。締めても冷やさなければ意味がなく、逆もまた然りです。クーラーの氷は多めに用意し、魚が直接氷に触れて身が傷まないよう海水で潮氷を作るのがコツです。

🔪 ソウダガツオさばき方の手順

Step1:エラと内臓を外す(エラ蓋を開け、エラと腹の内臓をまとめて引き出し流水で洗う)
Step2:頭を落とす(胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れて頭を切り離す)
Step3:三枚におろす(頭を左・腹を手前に置き、腹側→背側の順に中骨に沿って包丁を入れる)
Step4:血合いを処理する(中骨に沿った血合いをこそげ、刺身は血合いを切り落とす)
完成! 腹骨をすき取り、皮を引けば刺身やたたき用の柵になります

三枚おろしのコツ|頭を左・腹を手前に

三枚おろしの基本姿勢は、頭を左、腹を手前に置くこと(右利きの場合)。まず腹側から中骨に沿って包丁を入れ、次に魚を返して背側からも同様に入れ、中骨と身を切り離します。ソウダガツオは身がやわらかいので、包丁はよく研いだものを使い、刃を寝かせ気味にして中骨の上を滑らせるイメージで動かすと、身を余らせずきれいに下ろせます。よくある失敗が、包丁の角度が寝すぎて中骨にたっぷり身が残ってしまうこと。原因は刃を骨に押し付けすぎていることが多く、対策は中骨に刃先を軽く当てて骨の感触を確かめながら引くこと。一気に切ろうとせず、数回に分けてストロークするのがきれいに下ろすコツです。慣れないうちは中骨に身が多少残っても気にせず、残った身はスプーンでこそげてなめろうやつみれに回せば無駄になりません。

血合いの処理|刺身は切り落とし、ダシは残す

ソウダガツオならではの工程が血合いの処理です。刺身やたたきで食べるなら、中骨沿いの赤黒い血合いは思い切って切り落とすのが正解。血合いは旨みもありますが、鮮度が落ちると最初に生臭くなる部分だからです。とくにマルソウダは血合いが多いので、生食時はしっかり除くと格段に食べやすくなります。逆に、ダシ用やつみれ、しっかり加熱する料理なら血合いは旨みの源として残してよいでしょう。用途で残すか落とすかを判断するのがプロの使い分けです。処理のあいだも身が温まらないよう、こまめに保冷しながら手早く進めるのが鮮度を保つコツ。さばいた身はすぐ冷蔵し、生食なら当日、加熱用でも早めに食べ切るのが基本です。さばき方の詳しい手順は上のステップ図も参考にしてください。

料理で使い分ける|刺身・たたき・煮付け・揚げ物

ソウダガツオは状態と種類に合わせて料理を選べば、ぐっと美味しく食べられます。鮮度抜群なら刺身やたたき、それ以外なら加熱料理が基本。状況別の使い分けを見ていきましょう。

鮮度抜群ならヒラソウダの刺身・たたき

釣りたて・買いたてで鮮度に自信があるなら、ヒラソウダの刺身やたたきが一番のごちそうです。脂ののったヒラソウダの刺身は、しょうがやにんにく、青ねぎを薬味にすると旨みが引き立ちます。たたきにするなら、皮目を強火でさっと炙ってから氷水で締め、厚めに切ると香ばしさと身の旨みが両立します。マルソウダも鮮度が抜群ならたたきやなめろうで楽しめ、細かく刻んでねぎ・生姜・味噌と合わせると血合いの旨みが活きます。状況別に言えば、白身魚のような淡白さを期待せず、赤身らしい力強い味を楽しむ料理に向く魚です。注意点として、生食は鮮度がすべて。少しでも不安があれば生は避け、次に紹介する加熱料理に切り替えてください。旬で言えば、秋冬のヒラソウダこそ刺身の狙い目です。

鮮度が不安なら煮付け・竜田揚げで安心

鮮度に少し不安があるとき、あるいはマルソウダで血合いの臭みが気になるときは、加熱料理が安心で美味しい選択です。定番は煮付けで、しょうが・醤油・みりん・酒でしっかり味を含ませれば、青魚特有の風味がやわらいで白いご飯が進みます。揚げ物なら、しょうゆベースの下味を付けてから揚げる竜田揚げがおすすめ。揚げることで身が締まり、生臭さが飛んで子どもでも食べやすくなります。失敗例として、刺身用に買った魚を常温に2時間ほど置いてしまい、生食をあきらめるケースがあります。これはヒスタミン生成のリスクも上がる状況なので、無理せず潔く加熱に回すのが正解。原因は「もったいない」と判断を先延ばしにすること、対策は早めに加熱料理へ切り替える決断です。加熱すればヒスタミン以外の不安はかなり減らせます。

状況別の使い分け早見|種類×鮮度で決める

最後に使い分けを整理します。判断軸は「種類」と「鮮度」の2つだけ。鮮度抜群のヒラソウダなら刺身がベスト、鮮度抜群のマルソウダならたたき・なめろう。鮮度がやや落ちるヒラソウダは煮付けや塩焼き、鮮度がやや落ちるマルソウダは竜田揚げやつみれ汁に。そして血合いの多いマルソウダで状態が微妙なら、思い切ってダシ素材として活用する手もあります。季節で言えば、秋冬は刺身向きのヒラソウダ、春初夏は加熱・ダシ向きのマルソウダが店頭の主役になりやすい、と覚えておくと買い物がスムーズです。どの料理でも共通する鉄則は、入手後はとにかく低温で素早く扱うこと。この一点を守れば、ソウダガツオは家庭でも十分に美味しく食べられる、頼れる魚になります。

Q. ソウダガツオは刺身で食べても大丈夫ですか?
A. 釣った直後にしっかり血抜き・冷却し、低温を保った鮮度抜群のものであれば刺身で食べられ、とくに秋冬のヒラソウダは絶品です。ただし鮮度落ちが早くヒスタミン食中毒のリスクもある赤身魚なので、少しでも不安があれば生食を避け、加熱調理にしてください。

まとめ|マルソウダとヒラソウダは見分けて楽しもう

マルソウダとヒラソウダは、同じ「ソウダガツオ」と呼ばれながら、見た目も味も旬も使い道もはっきり違う2種でした。見分けの決め手は「有鱗部が糸状に細くなるか(ヒラ)・太いまま続くか(マル)」を中心に、体の高さとエラ蓋の斑紋の3点。刺身でおいしいのは脂ののるヒラソウダ、濃厚なダシの宗田節になるのが血合いの多いマルソウダ、と覚えておけば、もうスーパーや釣り場で迷うことはありません。どちらも赤身魚なので、入手後の低温管理だけは丁寧に行いましょう。

  • マルソウダもヒラソウダもサバ科ソウダガツオ属。総称が「ソウダガツオ」
  • 見分けの最大の決め手は有鱗部の形(糸状に細くなる=ヒラ、太いまま続く=マル)
  • 体型は丸いマル・体高のあるヒラ、エラ蓋の斑紋は背中とつながるのがマル
  • 刺身向きはヒラソウダ(旬は秋冬)、ダシ・宗田節向きはマルソウダ(旬は春初夏)
  • 宗田節は高知県土佐清水市が全国シェア約7割。血合いの旨みが濃厚なダシを生む
  • 赤身魚はヒスタミン食中毒に注意。ヒスタミンは加熱で消えないため低温管理が命
  • 鮮度抜群なら刺身・たたき、不安があれば煮付け・竜田揚げで安心

まずは次に魚屋やスーパーで「ソウダガツオ」を見かけたら、背中の有鱗部とエラ蓋の模様を覗き込んで、マルかヒラかを当ててみてください。秋冬に体高のあるヒラソウダを見つけたら、刺身に挑戦する絶好のチャンスです。見分けられるようになると、同じ魚がぐっと面白く、そして美味しく感じられるはずですよ。

※旬や回遊の時期は地域・その年の海況によって変動します。最新情報は各地の漁協公式サイトなどでご確認ください。

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この記事を書いた人

魚の種類・生態・食べ方を日々研究している魚好き。スーパーで見かける身近な魚から、釣り人にしか馴染みのない魚まで幅広くカバー。「この魚ってどう食べるの?」という疑問に答える、魚の図鑑のようなメディアを目指しています。

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