メルルーサとはどんな魚?白身魚フライの正体から味・産地・食べ方まで丸ごと解説

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スーパーのお惣菜やコンビニのり弁に入っている白身魚フライ、あの魚の正体を知っていますか。じつはその多くが「メルルーサ」という深海魚です。名前は聞き慣れないかもしれませんが、日本人なら一度は口にしている可能性が高い魚なんです。

メルルーサはタラ目メルルーサ科に分類される白身魚で、南半球を中心に世界中の海に約15種が生息しています。淡白でクセがなく、加熱しても身がやわらかいまま仕上がるため、フライ・ソテー・煮付けなど幅広い料理に使いやすいのが特長です。

この記事では、メルルーサの分類や生態から味の特徴、産地ごとの違い、栄養価、スーパーでの選び方、家庭でできる調理法まで、メルルーサのすべてを丸ごとお伝えします。

📌 この記事でわかること

・メルルーサの正体と分類(タラ目メルルーサ科の深海魚)
・世界に約15種いるメルルーサの種類と産地の違い
・タラと似ているようで違う味と食感の秘密
・家庭で美味しく調理するコツとおすすめレシピ

目次

メルルーサはタラ目メルルーサ科の深海魚|日本の食卓を陰で支える白身魚

メルルーサはタラ目メルルーサ科の深海魚|日本の食卓を陰で支える白身魚の解説画像

英名「Hake」のほうがピンとくる人もいるかもしれない

メルルーサは、英語圏では「Hake(ヘイク)」という名前で広く流通している白身魚です。学名はMerluccius属で、分類上はタラ目メルルーサ科に属します。タラと同じ「タラ目」に入っているため味が似ているのですが、「タラ科」ではなく「メルルーサ科」という独自のグループに分類されています。

日本では馴染みの薄い名前ですが、ヨーロッパ、特にスペインでは「国民的な魚」として知られ、煮込みやフリット、ピルピルなど数えきれないほどのレシピが存在します。スペインは世界最大級のメルルーサ消費国のひとつで、日本におけるサバやアジのような立ち位置といえるでしょう。

日本近海には生息しておらず、国内で流通するメルルーサはすべてニュージーランド・南アフリカ・アルゼンチン・チリなどからの冷凍輸入品です。名前を知らなくても、冷凍食品コーナーの「白身魚フライ」としてすでに食べている方は多いはずです。

体長は最大1.5m|銀色の体と鋭い歯が特徴の深海魚

メルルーサの体は細長い紡錘形で、全身が銀色に輝いています。種類にもよりますが、体長は30cm〜1m程度、大型種では1.5mに達する個体もいます。見た目はスズキに似たシルエットですが、深海魚特有の大きな口と鋭い歯を持っている点がはっきり違います。

生息水深は50m〜1,000m以上と幅広く、昼間は深海でじっとしていて、夜になると浅い水域に上がって小魚やイカなどの餌を捕る「日周鉛直移動」を行います。この行動パターンはキンメダイやムツなど他の深海魚にも共通する特徴です。

鮮魚店の店頭で丸ごとの姿を見かけることはほぼなく、多くの場合はフィレ(三枚おろしの切り身)か、加工品として流通します。もし丸ごとの姿を見る機会があれば、「意外と怖い顔をしているな」と驚くかもしれません。

🐟 魚スペックカード

分類 タラ目メルルーサ科メルルーサ属
英名 Hake(ヘイク)
南半球産は7月〜12月(冷凍輸入のため日本では通年入手可能)
大きさ 体長30cm〜1m、大型種は最大1.5m
生息域 南半球を中心に世界各地の深海(水深50m〜1,000m以上)
味の特徴 淡白でクセがなく、タラに似た味わい。加熱しても身がほろりとやわらかい
おすすめ調理法 フライ・ソテー・煮付け・唐揚げ・ムニエル

タラ目なのにタラ科じゃない?分類上の立ち位置

魚の分類に詳しい方なら「タラ目なのにタラ科じゃないの?」と気になるかもしれません。メルルーサは「タラ目メルルーサ科」に属しており、マダラやスケトウダラの「タラ科」とは科レベルで異なります。同じ目(もく)に属するいとこのような関係で、体の構造や食性に共通点は多いものの、別の系統として進化してきた魚です。

この分類上の違いが、味や食感のわずかな違いにもつながっています。タラは身の水分量が多くほぐれやすいのに対し、メルルーサは水分がやや少なく身が程よく締まっています。そのためフライにしたときに身が崩れにくく、衣のサクサク感と中身のしっとり感が両立しやすいのです。

加工食品の原材料表示で「メルルーサ」と書かれていたら、それはタラに似た深海の白身魚だと思ってください。味の傾向は近いですが、食感にはメルルーサならではの良さがあります。

世界に約15種いる|日本に届くメルルーサの種類と産地

ニュージーランドヘイク(NZヘイク)は日本で最も流通量が多い

日本国内で流通するメルルーサのなかで、最もよく見かけるのがニュージーランドヘイク(Merluccius australis)です。ニュージーランド沖の水深200〜800mに生息し、体長は60cm〜1m程度。身質がしっかりしていて加工適性が高いことから、白身魚フライや冷凍食品の原料として大量に輸入されています。

NZヘイクの特長は、メルルーサ属のなかでも身が比較的厚く、加熱後もパサつきにくい点です。フライはもちろん、ソテーやムニエルにしても食べ応えがあります。ニュージーランドの水産業は資源管理が厳格で、ニュージーランド第一次産業省(MPI)が漁獲量を科学的に管理しているため、持続可能性の観点からも安心できる魚種です。

なお、パッケージに「ホキ」と書かれた白身魚フライが隣に並んでいることもありますが、ホキはメルルーサとは別の科(マクルロヌス科)の魚です。見た目は似ていますが分類上は別グループなので、買い間違えないよう原材料表示を確認してみてください。

ケープヘイクは南アフリカ産の定番|やや小ぶりで身がやわらかい

南アフリカ沖で漁獲されるケープヘイク(Merluccius capensisおよびM. paradoxus)も、日本への輸入量が多い種類です。体長は30〜60cm程度とNZヘイクよりやや小ぶりで、身がやわらかく口当たりがなめらかなのが特徴です。

ケープヘイクは深海と浅海に住む2種(shallow-waterとdeep-water)に分かれており、深海型のほうがやや身が締まっている傾向があります。南アフリカの水産業も南アフリカ環境・森林・漁業省(DFFE)が管理しており、MSC認証を取得した漁業者も増えています。

日本では業務用の冷凍フィレとして輸入されることが多く、学校給食や病院食、外食チェーンの白身魚メニューにも広く使われています。家庭のスーパーで「メルルーサ切り身」として販売される場合、ケープヘイクであることも多いです。

アルゼンチンヘイクとヨーロピアンヘイク|産地で味に差はある?

アルゼンチン沖のアルゼンチンヘイク(Merluccius hubbsi)は、南米で最も多く漁獲されるメルルーサです。体長40〜60cm程度で、NZヘイクに比べると身がやや薄い傾向がありますが、価格が手頃なため加工用原料として需要があります。

一方、ヨーロピアンヘイク(Merluccius merluccius)は大西洋北東部からアフリカ北西部にかけて分布し、スペインやポルトガルでは最高級の白身魚として扱われています。身が厚く旨味が強いとされますが、日本にはあまり輸入されません。

産地による味の違いは、率直にいえば家庭で食べる分にはほとんど気になりません。冷凍輸入のフィレで比べると、NZヘイクとケープヘイクの違いよりも「解凍の仕方」や「調理法」のほうが味に与える影響が大きいです。産地を気にするよりも、冷凍庫から冷蔵庫に移してゆっくり解凍する「冷蔵庫解凍」を守るほうが美味しく食べられます。

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南半球産は7月〜12月が旬だが日本では通年買える理由

メルルーサの旬は産地の海域によって異なりますが、日本に多く入るNZヘイクやケープヘイクなど南半球産は7月〜12月にかけてが美味しい時期です。この時期は南半球の冬から春にあたり、冷たい海水の中でしっかり脂を蓄えた個体が獲れます。

ただし日本国内では、水揚げ後すぐに船上で冷凍加工されるため、季節を問わず安定した品質のフィレが入手できます。スーパーの冷凍コーナーや鮮魚コーナーで「メルルーサ」の表示を見かけたら、時期を気にせず買って問題ありません。

冷凍技術の進歩により、旬の時期に獲れた品質の良い個体がそのまま保存されているケースも多いです。「旬がないから味が落ちる」のではなく、「旬の状態で凍結されるから通年美味しい」と理解しておくとよいでしょう。

🗓 メルルーサの旬カレンダー(南半球産の目安)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=最旬(もっとも美味しい時期) ○=美味しい △=出回るが旬ではない ※冷凍輸入のため日本では通年入手可能

味はタラに似て淡白なのに身が締まっている|食感の秘密

味はタラに似て淡白なのに身が締まっている|食感の秘密の解説画像

タラより水分が少ないから「ほろっとほぐれるのに崩れない」

メルルーサの身は、タラと同じく白くて淡白な味わいですが、実際に食べ比べると食感に明確な違いがあります。タラは水分量が多く、加熱するとふわっとほぐれやすい半面、調理法によっては身が崩れてしまうことがあります。一方のメルルーサは水分がやや少なく身が程よく締まっているため、「ほろっとほぐれるのに崩れない」絶妙な食感になります。

この違いは、フライにしたときに顕著です。タラのフライは中身がやわらかすぎて箸で持ち上げたときに崩れることがありますが、メルルーサのフライはしっかりした身が衣の内側で形を保ちます。お弁当のおかずに入れても時間が経って崩れにくいのは、メルルーサならではの強みです。

クセのない味は万人受けしやすく、魚が苦手な子どもでも食べやすい傾向があります。骨も少ないため、小骨を気にせず食べられる点も、給食や弁当用の食材として選ばれる理由のひとつです。

脂質は100gあたり約0.6g|淡白すぎると感じたら油で補う

メルルーサの脂質は100gあたり約0.6gで、白身魚のなかでも特に低い部類に入ります。比較すると、マダラが約0.2g、ヒラメが約2g、タイが約5gですから、メルルーサはマダラに次ぐ低脂質の白身魚といえます。

この低脂質さは、ダイエット中や脂質を控えたい方には魅力ですが、そのまま塩焼きにすると「淡白すぎて物足りない」と感じることがあります。メルルーサの持ち味を活かすなら、フライやムニエルなど油脂を足す調理法がおすすめです。バターソテーやオリーブオイル煮(アヒージョ風)にすれば、外から油のコクを補って淡白な身との相性が良くなります。

逆にいえば、「魚自体の脂で勝負する」タイプの調理法(刺身や塩焼き)には向きません。メルルーサを美味しく食べるには、調理法で脂を足すのが基本戦略だと覚えておくとよいでしょう。

⚠️ 冷凍メルルーサの解凍で失敗しやすいポイント

冷凍フィレを電子レンジで急速解凍すると、身の端のほうだけ先に火が通り、中心部はまだ凍っているという「ムラ解凍」になりがちです。これが原因で調理後にパサついたり、水っぽくなることがあります。美味しく食べるには、前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移して8〜10時間かけてゆっくり解凍する「冷蔵庫解凍」がベストです。

生臭さが少ないのは深海魚ならではの理由がある

メルルーサが生臭さを感じにくい理由は、深海で暮らしていることと関係しています。一般的に、表層付近を高速で泳ぎ回る青魚(サバ・アジ・イワシ等)はヒスチジンというアミノ酸を多く含み、鮮度低下とともにヒスタミンに変化して生臭さや食中毒の原因になります。

メルルーサは深海でゆっくり生活する魚で、赤身魚に比べてヒスチジン含量が少なく、そもそも生臭さの原因物質が生成されにくい体質です。加えて、水揚げ後すぐに船上で冷凍処理されるため、鮮度劣化が起きる前に品質が固定される点も臭いの少なさにつながっています。

魚の臭いが苦手で敬遠してきた方にこそ試してほしい魚です。調理前にキッチンペーパーで解凍時のドリップ(余分な水分)を拭き取るひと手間を加えると、さらに臭みを抑えられます。

実はあなたも食べている?のり弁・給食・フィッシュアンドチップスの白身魚

コンビニ・スーパーの白身魚フライの正体

コンビニのり弁当やスーパーのお惣菜コーナーに並ぶ「白身魚フライ」の原材料表示を見たことはありますか。多くの商品で「メルルーサ」または「ホキ」と記載されています。メルルーサは身が崩れにくくフライに適していること、安定した価格で大量に仕入れられることから、食品加工業界で最も重視される白身魚のひとつです。

コンビニチェーン各社ののり弁で使われる白身魚フライも、メルルーサが使われているケースが多いです。あのサクサクの衣の中で「ほろっとやわらかいのに形が崩れない」食感を支えているのが、メルルーサの身質というわけです。

原材料表示で確認するには、パッケージ裏面の「名称」欄ではなく「原材料名」欄を見てください。「白身魚」としか書いていない場合、括弧内に魚種名が記載されていることが多いです。次にのり弁を買うとき、ぜひチェックしてみてください。

学校給食の「白身魚のフライ」もメルルーサが多い

学校給食の定番メニュー「白身魚のフライ」にも、メルルーサは頻繁に登場します。給食で使われる理由は、味にクセがなく子どもが食べやすいこと、骨がほとんどないこと、そしてアレルギー表示対象の特定原材料に該当しない魚種であることです。

さらに、業務用の冷凍フィレは1切れあたりの大きさやグラム数が均一に加工されているため、給食のように「全員同じ量を配膳する」用途に適しています。価格も安定しており、給食の限られた予算内で良質なタンパク質を提供できるのも選ばれる理由です。

「子どもの頃に食べたあの白身魚フライが美味しかった」という記憶がある方は、メルルーサの味を無意識に覚えている可能性があります。大人になってから意識的に食べ直すと、「ああ、これこれ」と懐かしく感じるかもしれません。

イギリスのフィッシュアンドチップスでも主役級の魚

イギリスの国民食「フィッシュアンドチップス」で使われる白身魚として有名なのはタラ(Cod)ですが、実はメルルーサ(Hake)もイギリスやスペイン、ポルトガルのフィッシュアンドチップス店で広く使われています。近年はタラの資源量減少と価格上昇を受けて、メルルーサをメインに据える店が増えています。

メルルーサはタラより身が締まっているため、ビール衣で揚げたときに内側の白身がしっとり残りやすいという調理上のメリットがあります。イギリスの食文化誌でも「Hakeはフィッシュアンドチップスにおけるタラの最良の代替魚」と評価されており、プロの料理人からの支持も厚い魚です。

日本でもフィッシュアンドチップス専門店が増えていますが、メニューに「本日の白身魚」と書かれている場合、メルルーサが使われていることがあります。知らずに食べて「美味しい」と感じていたなら、それがメルルーサの実力です。

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栄養は低脂質高タンパクの優等生|タウリン・カリウムも見逃せない

100gあたり約77kcal・タンパク質約17g|ダイエット中でも安心の数値

メルルーサの栄養価を数字で見ると、100gあたりのエネルギーは約77kcal、タンパク質は約17g、脂質はわずか約0.6gです。鶏むね肉(皮なし)が100gあたり約108kcal・タンパク質約23gですから、カロリーの低さではメルルーサが上回っています。

タンパク質を効率よく摂りたいけれど脂質は抑えたい、という方にとって、メルルーサは理想的な食材です。フライにすると油分が加わりますが、ソテーやホイル焼きなど油を最小限にした調理法なら、低カロリー高タンパクのままいただけます。

ただし、メルルーサだけで1日に必要なタンパク質をまかなおうとすると、ビタミンや脂溶性栄養素が不足しがちです。野菜や良質な脂質(オリーブオイル・ナッツなど)と組み合わせて、バランスよく食べることをおすすめします。

📌 さかなのさ調べ:白身魚の栄養成分比較(100gあたり)

下記の表は代表的な白身魚の栄養成分を比較したものです。メルルーサの低脂質ぶりが際立ちます。

魚種 エネルギー タンパク質 脂質
メルルーサ 約77kcal 約17g 約0.6g
マダラ 約77kcal 約17.6g 約0.2g
ヒラメ 約103kcal 約20g 約2g
マダイ 約142kcal 約20.6g 約5.8g
ホキ 約82kcal 約16.5g 約1.2g

タウリンが動脈硬化予防をサポートする仕組み

メルルーサにはタウリンが含まれています。タウリンは魚介類に多く含まれるアミノ酸の一種で、血中コレステロールを下げる働きや、肝臓の機能をサポートする働きが報告されています。

タウリンの具体的な作用としては、胆汁酸の分泌を促進してコレステロールの排泄を助けることが知られています。イカやタコ、貝類に比べるとメルルーサ単体のタウリン含有量は突出して多いわけではありませんが、低脂質の白身魚からタウリンも摂れるという点では「おまけ」として見逃せない栄養素です。

タウリンを効率よく摂るには、煮汁ごと食べられる調理法(煮付け・スープ・鍋)がおすすめです。タウリンは水溶性のため、フライやソテーのように油で調理すると流出は少ないですが、煮汁に溶け出した分も余さず摂れる煮込み料理が理にかなっています。

カリウム・カルシウム・リンも含む|不足しがちなミネラルを補える

メルルーサにはカリウム、カルシウム、リンといったミネラルも含まれています。カリウムはナトリウム(塩分)の排出を助けてむくみの予防に役立つミネラルで、塩分の多い食事になりがちな現代人には意識して摂りたい栄養素です。

カルシウムとリンは骨や歯の形成に関わるミネラルです。メルルーサのフィレだけで1日分のカルシウムをまかなうのは難しいですが、牛乳や小魚と組み合わせることで効率的にカルシウム摂取量を底上げできます。

意外と知られていないことですが、リンの過剰摂取はカルシウムの吸収を妨げる場合があります。メルルーサに含まれるリンの量は適度なので心配は不要ですが、加工食品(ハム・ソーセージ・清涼飲料水など)にはリン酸塩が添加されていることが多いため、メルルーサを食べるときは加工食品の食べ過ぎに注意するとバランスが取りやすくなります。

スーパーで買ったメルルーサを家庭で美味しく調理する方法

基本のフライ|衣はパン粉を細かくするとプロの仕上がりに近づく

メルルーサの最も定番かつ間違いない調理法はフライです。手順はシンプルで、解凍したフィレに塩コショウをふり、小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣をつけて170〜180℃の油で3〜4分揚げるだけ。中心まで火が通れば完成です。

プロの味に近づけるコツは、パン粉をポリ袋に入れて手で揉み、粒を細かくしてから使うことです。細かいパン粉は衣が薄く均一につくため、サクサク感が増し、身のやわらかさとのコントラストが際立ちます。生パン粉よりも乾燥パン粉のほうが軽い食感に仕上がるので、お好みで使い分けてください。

揚げ油の温度が低すぎると衣が油を吸ってベタッとした仕上がりになります。菜箸を油に入れて細かい泡が勢いよく出る状態(170〜180℃の目安)を確認してから投入しましょう。揚げ時間は厚さ1.5cm程度のフィレで片面2分ずつが目安です。

ムニエル|バターの焦がし加減で味が決まる

フライに次いでおすすめなのがムニエルです。解凍したフィレの水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取り、塩コショウをふって薄力粉を薄くまぶします。フライパンにバター15gとオリーブオイル小さじ1を入れて中火で熱し、フィレを皮目(または表面が平らな方)から焼きます。

片面を2〜3分焼いて焼き色がついたら裏返し、さらに2分ほど焼けば完成。仕上げにレモン汁をかけると、バターのコクとレモンの酸味がメルルーサの淡白な身を引き立てます。

ここで失敗しやすいのが、バターを焦がしすぎて苦みが出てしまうケースです。バターは焦げやすいため、オリーブオイルを少量混ぜることで焦げつきを防げます。また、フィレの水気をしっかり拭かないと、フライパンに入れた瞬間に油がはねて危ないうえ、衣の粉が水分を吸ってベチャッとした仕上がりになるので注意してください。

Q. メルルーサは刺身で食べられる?
A. 日本国内で流通するメルルーサはほぼ全て冷凍輸入品のため、鮮度面から刺身用として販売されることはまずありません。そもそもメルルーサは脂質が100gあたり約0.6gと低く、刺身で食べても淡白すぎて旨味を感じにくい魚です。メルルーサの美味しさはフライやムニエルなど「油脂を足す調理法」で最大限に引き出されるので、加熱調理で楽しむのがおすすめです。

煮付け・アクアパッツァ|煮崩れしにくいから初心者向き

メルルーサは身が適度に締まっているため、煮付けやアクアパッツァのように煮込む料理でも崩れにくいのが利点です。和風の煮付けなら、醤油・みりん・酒・砂糖を2:2:2:1の割合で煮汁を作り、メルルーサのフィレを入れて落とし蓋をして中火で10分ほど煮れば完成します。

アクアパッツァにする場合は、フライパンでメルルーサをオリーブオイルで軽く焼いたあと、ミニトマト・あさり・白ワイン(なければ料理酒)・水を加えて蓋をし、あさりの口が開くまで加熱します。メルルーサの淡白な身にトマトの酸味とあさりの旨味が染み込み、一品でごちそう感が出る料理です。

煮込み料理のメリットは、水溶性のタウリンやカリウムが煮汁に溶け出した分もスープとして摂れることです。残った煮汁にパスタを絡めれば、栄養を無駄にせず最後まで美味しくいただけます。

タラ・パンガシウスと何が違う?似ている白身魚との比較

メルルーサとタラの違い|身の締まり方と価格に差がある

メルルーサとタラ(マダラ・スケトウダラ)はどちらもタラ目の白身魚で味の傾向は似ていますが、いくつかの明確な違いがあります。最大の違いは身の水分量で、タラは水分が多くほぐれやすいのに対し、メルルーサは水分がやや少なく身が締まっています。

価格面では、マダラの切り身がスーパーで100gあたり200〜300円程度なのに対し、メルルーサの切り身は100gあたり150円程度とやや安価です。スケトウダラ(すり身の原料として有名)はさらに安いですが、切り身として売られることは少ないため、切り身で比較するとメルルーサのほうがコストパフォーマンスに優れています。

用途別に使い分けるなら、鍋や汁物にはタラ、フライやムニエルにはメルルーサが向いています。タラの身のほぐれやすさは鍋の中で出汁と一体化する魅力がありますし、メルルーサの身の締まりはフライの衣と好相性です。

比較項目 メルルーサ マダラ パンガシウス
分類 タラ目メルルーサ科 タラ目タラ科 ナマズ目パンガシウス科
主な産地 NZ・南アフリカ・チリ 北太平洋・北大西洋 ベトナム(養殖)
味わい 淡白・身が締まる 淡白・ほぐれやすい 淡白・やわらかい
脂質(100gあたり) 約0.6g 約0.2g 約2.5g
価格帯(切り身100g) 約150円 約200〜300円 約100〜150円
おすすめ調理法 フライ・ムニエル 鍋・煮付け フライ・ソテー

パンガシウス(バサ)との違い|ナマズの仲間と深海魚の違いを知る

スーパーの冷凍コーナーで「白身魚」として並んでいるもうひとつの魚がパンガシウス(通称バサ)です。パンガシウスはナマズ目パンガシウス科の淡水魚で、主にベトナムのメコン川流域で養殖されています。分類上はメルルーサとまったく別の魚です。

パンガシウスはメルルーサ以上にクセがなく、ほぼ無味に近い淡白さです。脂質は100gあたり約2.5gとメルルーサより多いため、フライにするとしっとりした仕上がりになります。価格はメルルーサと同等かやや安く、100gあたり100〜150円程度です。

両者を食べ比べると、メルルーサのほうが「魚らしい風味」が感じられ、パンガシウスはより無個性な味わいです。フライのおかずとしてどちらが美味しいかは好みが分かれますが、「白身魚フライの味がしっかり感じられるほうがいい」ならメルルーサ、「衣やソースの味を邪魔しないほうがいい」ならパンガシウスを選ぶとよいでしょう。

ホキとの違い|メルルーサとよく混同されるもうひとつの白身魚

白身魚フライの原料としてメルルーサと並んで登場するのがホキ(Macruronus novaezelandiae)です。ホキもニュージーランド周辺で漁獲される深海魚で、メルルーサと用途が重なることが多いため混同されがちですが、分類上はメルルーサ科ではなくマクルロヌス科に属する別の魚です。

ホキはメルルーサよりも身がやわらかく水分が多い傾向があり、フライにするとふわっとした食感になります。一方メルルーサは身が締まっているため、しっかりした歯ごたえのフライに仕上がります。

原材料表示で「ホキ」と書かれていたらメルルーサとは別の魚なので、食べ比べて自分の好みを知っておくと、スーパーでの白身魚フライ選びが楽しくなります。なお、ホキもメルルーサも安全に食べられる白身魚で、栄養面での大きな差はありません。

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意外と知られていない?メルルーサにまつわる豆知識と注意点

「白身魚フライ」の表示でメルルーサと気づかず食べている人がほとんど

メルルーサの年間輸入量は日本全体で数万トン規模にのぼりますが、「メルルーサを食べたことがある」と自覚している消費者はごく一部です。これは、加工食品の原材料表示では「白身魚」とだけ大きく書かれ、魚種名は小さな括弧書きで記載されるケースが多いためです。

実際、2000年代初頭にはメルルーサが「タラ」として販売されていた時期もあり、食品表示の適正化が進んだ現在でも「白身魚=タラだろう」と思い込んでいる方は少なくありません。メルルーサはタラとは別の科に属する魚なので、正確には「タラに似た味の別の魚」です。

これは消費者にとって悪い話ではなく、むしろ「知らないうちに安くて美味しい魚を食べていた」ということです。名前を知ったうえで食べると、「のり弁のフライ」「お惣菜の白身魚」がちょっと違って見えてくるかもしれません。

冷凍メルルーサを買うときの選び方|霜がついている商品は避ける

スーパーの冷凍コーナーでメルルーサのフィレを選ぶとき、パッケージの中に白い霜(しも)が大量についている商品は避けたほうがよいです。霜は一度解凍されて再冷凍された可能性を示すサインで、こうした商品は身の水分が抜けてパサつきやすくなっています。

理想は、フィレの表面にうっすらとグレーズ(氷の膜)がかかっていて、パッケージ内に霜がほとんどない状態のものです。グレーズは冷凍焼けを防ぐための意図的な処理なので品質上の問題はありません。

購入後は、買い物の最後に冷凍コーナーに寄り、保冷バッグに入れて持ち帰るのが基本です。帰宅後すぐに冷凍庫に入れ、使うときは前日の夜に冷蔵庫へ移して冷蔵庫解凍してください。この「買い方→保存→解凍」の流れを守るだけで、メルルーサの味は格段に変わります。

⚠️ 解凍したメルルーサを再冷凍しないで

一度解凍したメルルーサを「やっぱり今日は使わない」と再冷凍すると、細胞内の水分が氷結→融解→再氷結を繰り返して細胞が壊れ、次に解凍したとき大量のドリップ(水分)が出て身がスカスカになります。解凍後は当日中に調理するのが鉄則です。どうしても使い切れないときは、加熱調理してから冷凍保存するほうが品質を保てます。

メルルーサの資源管理と持続可能性|MSC認証にも注目

メルルーサは世界的に需要が高い魚であるため、一部の海域では乱獲が問題になった歴史があります。しかし近年は各国で資源管理が進み、ニュージーランドや南アフリカの漁業ではMSC(海洋管理協議会)認証を取得した持続可能な漁業が拡大しています。

MSC公式サイトによると、MSC認証は「水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業」に与えられる国際的な認証です。スーパーで青い魚のマークがついた白身魚フライを見かけたら、それはMSC認証のメルルーサかもしれません。

消費者として「美味しくて安い魚を食べたい」のは当然ですが、その魚が将来も食べ続けられるかという視点も大切です。MSC認証マークのついた商品を意識して選ぶことは、海の資源を守る小さな一歩になります。

まとめ:メルルーサは「名前を知らないだけ」の身近な白身魚

メルルーサは、タラ目メルルーサ科に属する深海の白身魚で、日本では冷凍輸入品として大量に流通している「知らないうちに食べている魚」の代表格です。のり弁の白身魚フライ、学校給食のフライ、フィッシュアンドチップスの白身魚——その多くがメルルーサです。

タラに似た淡白な味わいながら、身が程よく締まっていてフライにしても崩れにくいのが最大の特長。脂質は100gあたり約0.6gと低く、タンパク質は約17gとしっかり摂れるため、栄養面でも優秀な白身魚です。

ここまでの内容を振り返ります。

  • メルルーサはタラ目メルルーサ科の深海魚で、英名は「Hake」。世界に約15種が生息し、日本近海にはいない
  • 主な産地はニュージーランド・南アフリカ・アルゼンチン・チリ。南半球産の旬は7月〜12月だが冷凍輸入のため日本では通年入手可能
  • タラに似た淡白な白身だが、水分がやや少なく身が締まっているのが違い。フライに最適な食感
  • 栄養は100gあたり約77kcal・タンパク質約17g・脂質約0.6gの低脂質高タンパク。タウリン・カリウムも含む
  • 家庭での調理はフライ・ムニエル・煮付け・アクアパッツァがおすすめ。「油脂を足す調理法」が味を引き出すコツ
  • 冷凍品は「冷蔵庫解凍」が鉄則。電子レンジ解凍や再冷凍はパサつきの原因になる
  • タラ・パンガシウス・ホキとは分類も味も異なる別の魚。原材料表示で見分けられる

まずはスーパーの冷凍コーナーや惣菜コーナーで、原材料表示に「メルルーサ」の文字がないか探してみてください。きっと「こんなに身近にあったのか」と驚くはずです。名前を知ったうえで食べると、いつもの白身魚フライの味がちょっとだけ変わって感じられますよ。

※栄養成分や旬の時期は産地・個体差・加工方法によって異なる場合があります。最新情報は水産庁や各食品メーカーの公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

魚の食べ方・さばき方・種類の違いから雑学まで、魚にまつわるすべての疑問に答える図鑑メディアです。スーパーの鮮魚コーナーで「この魚どうやって食べるの?」と迷ったとき、釣った魚を持ち帰って「さばき方がわからない」と困ったとき、お役に立てれば幸いです。運営は株式会社てまひま(名古屋市)。

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