シマアジとアジの違いは「属」から別物|縞・ゼンゴ・脂で見分ける7つのポイント

スーパーの鮮魚コーナーで「シマアジ」の刺身が、いつものアジより明らかに高い値札をつけているのを見て、「同じアジなのに、なにがそんなに違うの?」と首をかしげたことはありませんか。じつはシマアジと、私たちが普段「アジ」と呼んでいるマアジは、同じアジ科でありながら別の「属」に分類される、かなり遠い親戚どうしの魚です。

結論から言うと、両者は「属が違う」「ゼンゴ(ゼイゴ)の位置が違う」「脂ののりと値段の格が違う」という3点で見分けられます。シマアジは天然なら1kg5,000〜10,000円にもなる高級魚、マアジはスーパーで気軽に買える大衆魚。見た目も味も価格も、知れば知るほど別物です。

この記事では、シマアジとアジ(マアジ)の違いを、分類・見た目・大きさ・値段・味・旬・栄養の7つの角度から、台所やスーパーですぐ使える形で整理します。見分け方のチェックポイントから、それぞれの美味しい食べ方の使い分けまで、まるごと分かるようにまとめました。

📌 この記事でわかること

・シマアジとマアジが「別の属」である理由と分類の違い
・縞・ゼンゴ・体型でその場で見分ける具体的なチェックポイント
・大きさ・値段・味・旬・栄養を数値で比較した違い
・刺身・焼き・干物それぞれに向くのはどっちかの使い分け

目次

シマアジとアジ(マアジ)は別属の魚|まず知りたい3つの基本の違い

「シマアジ」と「アジ」は名前が似ているので同じ魚の仲間と思われがちですが、生物学的な距離はけっこう離れています。まずは分類・呼び名・立ち位置という3つの基本から、両者の関係を整理しておきましょう。ここを押さえておくと、このあとの見分け方や味の違いがすっと頭に入ります。

シマアジはシマアジ属、マアジはマアジ属|同じアジ科でも属が違う

結論として、シマアジ(学名Pseudocaranx dentex)はアジ科シマアジ属、マアジ(学名Trachurus japonicus)はアジ科マアジ属で、科は同じでも属が異なります。属が違うというのは、人間でいえば同じ「ヒト科」の中でも別グループに分かれるくらいの距離感です。アジ科という大きなくくりが同じだから「アジ」という名前を共有しているだけで、体のつくりや生き方はかなり違います。スーパーで「アジ」とだけ書かれて売られているのはほぼマアジのこと。シマアジは必ず「シマアジ」と区別して表示されます。値札の表記が違うのは、売る側も別格の魚として扱っているからです。豆知識として、ブリやカンパチも同じアジ科の仲間で、アジ科は意外と大所帯のグループだと覚えておくと魚売り場が立体的に見えてきます。

名前の由来は「黄色い縞」か「伊豆七島」|2つの説がある

シマアジの「シマ」には2つの有力な説があります。ひとつは、ある程度大きくなるまで体側に黄色い横縞(縦に走る帯)が出ることから「縞鯵(しまあじ)」と呼ばれたという説。もうひとつは、伊豆七島でよく獲れたことから「島鯵(しまあじ)」と書いたという説です。どちらも漢字で書くと意味が通るのが面白いところで、産地の魚屋では「島のアジ」というニュアンスで使う人もいます。一方マアジの「マ」は「真」、つまり「これぞ本物のアジ」という意味で、アジ類の代表格であることを示しています。見分けの実用面では、若魚のシマアジに出る黄色い縞は成長とともに薄くなるため、大型の天然ものでは縞が頼りにならないこともある、という点は覚えておくと失敗しません。

大衆魚のマアジ、高級魚のシマアジ|食卓での立ち位置の違い

両者の決定的な違いのひとつが、食卓での立ち位置です。マアジは1年を通して全国に出回り、刺身・干物・フライと毎日の食卓を支える大衆魚。対してシマアジは、天然ものなら高級寿司店や料亭で扱われる「アジ界の王様」とも呼ばれる存在です。理由は漁獲量の差にあります。マアジは沿岸で群れをなして大量に獲れますが、天然シマアジはまとまって獲れにくく、希少性が価格を押し上げます。とはいえ近年は養殖シマアジが普及し、スーパーでも手が届く価格で並ぶようになりました。「シマアジ=必ず高い」とは限らないのが今の実情です。買うときは天然か養殖かの表示も合わせて見ると、価格と味の納得感が変わってきます。

アジ科の幼魚は地方名が多く、見分けが難しいものです。アジ科の小さな魚の正体について詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。

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見た目で見分ける|縞・ゼンゴ・体型の3つのチェックポイント

シマアジとマアジは、ポイントさえ押さえれば見た目でかなり確実に見分けられます。鍵になるのは「ゼンゴ(ゼイゴ)の位置」「体高」「体色と縞」の3つ。とくにゼンゴの違いは個体差に左右されにくく、いちばん信頼できる決め手です。スーパーで丸ごと1尾を選ぶときに使えるよう、具体的に見ていきましょう。

📌 押さえておきたいポイント

いちばん確実なのは「ゼンゴの長さ」。マアジはエラ近くから尾まで側線のほぼ全長にゼイゴが並びますが、シマアジは体の後半(尾の近く)だけにゼンゴがあります。1尾丸ごとなら、まずここを指でなぞって確かめましょう。

ゼンゴ(ゼイゴ)の長さが決定打|マアジは全長、シマアジは尾側だけ

もっとも確実な見分け方は、体側にあるトゲ状のかたい鱗「ゼンゴ(稜鱗・ゼイゴ)」の範囲です。マアジ属のマアジは、エラのうしろあたりから尾の付け根まで、側線のほぼ全長にわたってゼイゴがびっしり発達しています。一方シマアジ属のシマアジは、体の後半部分、つまり尾に近い側線上にだけゼンゴがあり、前半にはありません。これは属が違うことに由来する構造的な差なので、個体差でブレません。見分けに迷ったら、指の腹で体側を頭から尾へなぞってみてください。早い段階からザラザラする突起が続けばマアジ、後ろ半分だけにかたい部分が出てくればシマアジです。下処理の豆知識として、このゼンゴは食感が悪いため、どちらの魚でも調理の最初に包丁で薄くそぎ取ります。位置を知っておくと処理もスムーズです。

体高があって丸いのがシマアジ|スマートなのがマアジ

体型のシルエットも大きな手がかりです。シマアジは体高(背からお腹までの厚み)が高く、ふっくらと丸みを帯びた木の葉のような体型をしています。幼魚を横から見ると、体の中心が盛り上がったアーモンド(猫の目)のような形だと表現されます。対してマアジは体高が低めで、前後に細長いスマートな紡錘形。同じくらいの長さで並べると、シマアジのほうが明らかに「ずんぐり」して見えます。この厚みの差は、身の歩留まり(食べられる部分の多さ)にも直結します。シマアジの体高が高いのは脂をたっぷり蓄える生態と関係しており、見た目のふっくら感がそのまま味のリッチさにつながっているわけです。値段の高い魚ほど体型が立派、と覚えておくと選ぶときの目安になります。

体色と縞で見る|シマアジの黄色いライン、マアジの2タイプ

体色も見分けの補助になります。シマアジは背側が青みがかった緑色で、体の中央に頭から尾へ走る1本の黄色い帯(縞)が出るのが特徴です。ただしこの縞は若魚ではっきりし、大型になると薄れるため、絶対的な決め手にはしすぎないのがコツ。マアジには体色の異なる2タイプがいて、沖を回遊する「回遊型(クロアジ)」は黒っぽく、沿岸に居着く「瀬付き型(キアジ)」は黄色みが強く脂ものっています。同じマアジでも黄色っぽい個体がいるので、「黄色いからシマアジ」と早合点しないこと。色はあくまで補助、最終判断はゼンゴと体高でする、という順番を守ると間違えません。やりがちな失敗が、瀬付きの黄アジをシマアジと勘違いすることなので注意しましょう。

大きさと値段がここまで違う|大衆魚と高級魚を分ける境界線

シマアジとマアジは、最大サイズも市場での値段もスケールが違います。「アジ」という同じ言葉でくくるのがためらわれるほどで、この差を知ると値札の理由に納得できます。サイズの目安と価格帯、そして天然・養殖の違いを順に見ていきましょう。

比較項目 シマアジ マアジ
最大サイズ 最大120cm前後 最大50cm前後
流通の中心 30〜50cm 20〜30cm(100g前後)
価格帯の目安 養殖約2,000円/kg・天然5,000〜10,000円/kg 大衆魚・手頃
立ち位置 高級魚 大衆魚

※サイズ・価格はさかなのさ調べ(水産関連各サイトの公開情報をもとに作成)。漁期・産地・サイズで変動します。

最大サイズはシマアジが圧勝|120cm対50cm

大きさの違いは数字で見ると一目瞭然です。シマアジは最大で全長120cm前後まで成長する大型魚で、市場に出回るのは30〜50cmクラスが中心。対してマアジは最大でも50cm前後、ふだんスーパーで見かけるのは20〜30cm、重さにして100g前後の個体がほとんどです。つまりシマアジは「育てばマアジの倍以上の長さ」になる魚なのです。この差が生まれるのは、両者の生態と寿命の違いによります。大きいシマアジほど身に厚みが出て刺身が映えるため、サイズそのものが価値になります。ただし大型の天然シマアジは数が少なく、市場でもめったにお目にかかれません。スーパーで見る切り身サイズのシマアジは、ほとんどが扱いやすい養殖ものだと考えてよいでしょう。

アジのサイズには豆アジ・小アジ・中アジ・大アジといった呼び分けがあります。マアジのサイズ基準をもっと詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

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天然シマアジは1kg1万円も|価格差が生まれる理由

値段の差は、両者を分けるいちばん分かりやすいポイントです。天然シマアジは1kgあたり5,000〜10,000円の高値がつくこともある高級魚。対してマアジは大衆魚として手頃な価格で売られ、特売では1尾数十円ということもあります。この差の正体は希少性です。マアジは沿岸で大群をつくり安定して大量に水揚げされますが、天然シマアジはまとまって獲れにくく、市場に出る量が限られます。需要に対して供給が少なければ価格は上がる、というシンプルな構図です。さらにシマアジは釣りの対象魚としても人気が高く、その評価も価格を支えています。「アジ界の王様」という呼び名は、味だけでなくこの希少性と人気に裏打ちされたものなのです。

養殖シマアジで価格は身近に|2,000円台で楽しめる

「シマアジは高くて手が出ない」というのは、もはや過去の話になりつつあります。現在はシマアジの養殖技術が確立し、養殖ものなら1kgあたり2,000円前後で流通しています。天然ものの5分の1ほどの価格で、シマアジ特有のしっかりした脂と歯ごたえを楽しめるわけです。スーパーの刺身パックや柵で並ぶシマアジの多くはこの養殖もの。選ぶときの豆知識として、養殖シマアジは天然より目が大きめで体色が濃く、頭部が大きい傾向があります。脂が強くねっとりした食感を好むなら養殖、すっきりした後味を求めるなら天然、と目的で選び分けるのがおすすめです。価格と味のバランスを考えると、ふだん使いには養殖シマアジがちょうどよい選択肢になっています。

味と食感はどう違う?|脂ののりと身質を食べ比べる

見た目や値段だけでなく、口に入れたときの印象も両者でくっきり分かれます。脂ののり、身のしまり、後味——それぞれの個性を知っておくと、料理に合わせた選び方ができます。ここではシマアジとマアジの味の違いを具体的に掘り下げます。

Q. シマアジとマアジ、刺身で美味しいのはどっち?
A. 脂ののりと歯ごたえならシマアジに分があります。身がしっかりしてコリコリし、脂の甘みが濃いのが特徴です。一方、旬の脂がのったマアジも刺身の旨みは格別で、価格を考えればコスパは抜群。「リッチさのシマアジ、旨みとコスパのマアジ」と覚えると選びやすくなります。

シマアジは脂が濃くコリコリ|身質はブリに近い

シマアジの刺身は、脂の濃さと歯ごたえのよさが身上です。身質は青魚というより、むしろブリに近いしっかりとした白身で、噛むとコリコリとした弾力があります。とくに養殖シマアジは脂が強く、ねっとりとした舌触りで、トロのような満足感があります。これは体高が高く脂を蓄える体のつくりに由来します。天然ものは透明感のある白身で後味がすっきりし、脂がのると味に奥行きが生まれると評されます。新鮮なシマアジの刺身が高級寿司店で珍重されるのは、この脂と歯ごたえのバランスゆえです。注意点として、脂が強いぶん厚切りにすると重く感じることがあるので、やや薄めに引くと上品に楽しめます。

マアジは旨みと香り|青魚らしいさっぱり感

マアジの魅力は、脂の量ではなく旨みと香りのよさにあります。グルタミン酸やアスパラギン酸といった旨み成分を豊富に含み、青魚らしいさっぱりした後味が特徴です。旬の脂がのった時期には身がしっとりし、刺身でも焼いても香りが立ちます。とくに沿岸に居着く瀬付き型(黄アジ)は脂のりがよく、刺身向きとして珍重されます。シマアジのような濃厚さはないものの、毎日でも飽きずに食べられる軽やかさがマアジの持ち味です。逆張りの視点を加えると、「高いシマアジが常にマアジに勝つ」わけではありません。旬を迎えた瀬付きの黄アジは、下手な養殖シマアジよりも刺身として満足度が高いことがあります。値段だけで優劣を決めず、その時期にいい状態のものを選ぶのが本当の通の選び方です。

用途で選ぶ|刺身はシマアジ、干物・フライはマアジ

味の個性を踏まえると、料理ごとの向き不向きが見えてきます。脂と歯ごたえを主役にしたい刺身や寿司は、シマアジが圧倒的に映えます。一方、開いて干す干物や、揚げて軽さを生かすフライ、たたき、なめろうといった調理は、旨みと香りのマアジが本領を発揮します。マアジの干物が食卓の定番なのは、適度な脂と旨みが乾燥と加熱でぎゅっと凝縮するから。シマアジを干物にするのはぜいたくすぎて、産地でもあまりやりません。豆知識として、シマアジは煮付けや塩焼きにしても美味しいですが、その魅力がもっとも素直に出るのはやはり生。逆にマアジは火を通す料理で香ばしさが引き立ちます。同じ「アジ」でも得意分野が分かれているわけです。

旬と産地で選ぶ|美味しい時期はいつ?

魚は旬を外すと味が大きく落ちます。シマアジとマアジは旬の時期が少しずれているので、カレンダーで把握しておくと買い物が上手になります。それぞれの旬と産地、そして天然・養殖で旬の考え方がどう変わるかを見ていきましょう。

🗓 天然シマアジの旬カレンダー

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=最旬 ○=美味しい △=出回るが旬ではない(さかなのさ調べ・天然ものの目安)

天然シマアジの旬は初夏〜夏|産卵前が脂ののり時

天然シマアジの旬は、産卵を控えた初夏から夏にかけて、6〜8月が中心です。産卵前は体に脂を蓄えるため、この時期の天然シマアジは脂がよくのって刺身が格別になります。主な産地は伊豆諸島や、青森県から九州南岸にかけての太平洋沿岸。温暖な海を好む魚なので、暖かい海域での水揚げが中心です。覚えておきたいのは、シマアジは200mより浅い海で小魚を追って暮らす肉食魚で、回遊するため漁獲が安定しないこと。これが希少性、ひいては高値につながっています。夏に魚売り場で天然シマアジを見かけたら、それは旬の証。脂ののったいちばんいい状態に出会えるチャンスです。

マアジの旬は春〜夏|産地で時期がずれる

マアジの旬は一般に4〜7月の春から夏にかけてですが、回遊する魚なので産地によって時期がずれるのが面白いところです。回遊型のアジは九州で3月ごろに始まり、駿河湾沖が4月ごろ、房総沖が5月ごろと、海流に乗って北上していきます。さらに9月ごろの三陸沖で獲れるアジは脂がのって美味しいと言われ、地域ごとに「旬のリレー」が起きています。マアジは日本全国の沿岸に広く分布し、北海道から九州、瀬戸内海、東シナ海の大陸棚域まで幅広く生息する魚。だからこそ年間を通じて全国どこかで旬を迎え、安定して食卓に届きます。産地表示を見て、その時期に旬を迎えている海域のものを選ぶと、同じマアジでも一段美味しいものに当たります。

養殖は旬が穏やか|年間通して安定した味

養殖もののシマアジは、天然と違って旬の波が穏やかなのが特徴です。計画的に餌を与えて育てるため、年間を通じて脂ののった状態をキープしやすく、いつ買っても安定した味が楽しめます。「旬を外すと味が落ちる」という天然ものの弱点を補えるのが養殖の強みです。スーパーの刺身コーナーで一年中シマアジが並んでいるのは、こうした養殖ものが流通しているから。一方で、季節の移ろいを味で感じたい、後味のすっきりした上品さを求めるなら、夏の天然ものに軍配が上がります。失敗例として、せっかく旬の天然シマアジを買ったのに、買ったその日に食べずに数日置いてしまい、持ち味のすっきり感が抜けてしまうケースがあります。天然の旬ものは鮮度が命。買ったら早めに味わうのが正解です。

栄養成分を比較|DHA・EPA・カロリーはどう違う?

同じアジの仲間でも、シマアジとマアジでは栄養の数字に明確な差があります。とくに脂質とカロリー、そしてDHA・EPAといった健康成分の量が違います。実際の数値を並べて、それぞれの栄養的な個性を確認しておきましょう。

成分(生100gあたり) シマアジ(養殖) マアジ(皮つき)
カロリー 168kcal 126kcal
たんぱく質 21.9g 19.7g
脂質 8.0g 4.5g
DHA 900mg 不飽和脂肪酸2.27g(DHA・EPA含む)
カルシウム 16mg 66mg

※さかなのさ調べ(日本食品標準成分表ベースの公開データより)。養殖・天然や個体差で変動します。

カロリーと脂質はシマアジが高め|脂ののりが数字に出る

数字を見ると、シマアジ(養殖・生)は100gあたり168kcal、脂質8.0g。対してマアジ(生・皮つき)は126kcal、脂質4.5gです。カロリーで約4割、脂質では2倍近くシマアジのほうが高く、脂ののりの違いがそのまま数値に表れています。シマアジが濃厚でねっとりした口当たりなのは、この脂質量に裏打ちされたものなのです。たんぱく質はシマアジ21.9g、マアジ19.7gとどちらも高たんぱくで、魚らしい良質なたんぱく源である点は共通しています。ダイエット中であっさり食べたいならマアジ、満足感や脂の旨みを重視するならシマアジ、という選び方ができます。注意点として、これは養殖シマアジの数値で、天然ものや時期によって脂質量は変わります。あくまで目安として捉えてください。

DHA・EPAはどちらも豊富|青魚の健康成分

アジの仲間が「体にうれしい魚」と言われる理由が、DHA・EPAという不飽和脂肪酸です。シマアジ(養殖)はDHAを900mg、EPAを400mg含みます。マアジも不飽和脂肪酸を100gあたり2.27g含み、DHA・EPAが豊富です。これらは青魚に多く含まれる成分として知られ、シマアジ・マアジともにしっかり摂れます。脂質量が多いシマアジのほうがこうした脂溶性の成分も多く含む傾向があります。あわせて両者ともビタミンDが豊富で、シマアジは18μg、マアジは8.9μgを含みます。マアジは皮や骨ごと食べられる干物や小アジの南蛮漬けにすればカルシウム(100gあたり66mg)も効率よく摂れます。栄養面では「脂の成分を多く摂るならシマアジ、骨ごと食べてカルシウムも狙うならマアジ」という使い分けが成り立ちます。

アジは青魚の代表格です。そのほかの青魚にどんな種類があり、栄養がどう違うのかを知りたい方はこちらもどうぞ。

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食べ方で栄養の活かし方が変わる|生か加熱か

同じ魚でも、調理法によって栄養の活かし方は変わります。DHA・EPAは熱に弱く、また脂とともに流れ出やすいため、これらを効率よく摂りたいなら刺身など生で食べるのが理にかなっています。脂ののったシマアジを刺身で味わうのは、美味しさと栄養の両取りになるわけです。一方マアジを焼くと脂が落ちてカロリーは抑えられますが、香ばしさと旨みが立ちます。干物にすると水分が抜けて栄養が凝縮し、骨まで食べやすくなるのも利点です。豆知識として、揚げ物にすると衣が脂の流出を防ぎ、青魚の成分を逃しにくいという面もあります。「生で成分を丸ごと、焼きでさっぱり、揚げで香ばしく」と、目的に応じて調理を選ぶと、それぞれの魚の良さを最大限に引き出せます。

買い方・さばき方・食べ方の使い分け|失敗しないコツ

最後に、実際にシマアジとマアジを買って料理するときの実践ポイントをまとめます。鮮度の見極め、さばくときの注意、そして安全に美味しく食べるためのコツ。台所ですぐ役立つ内容を押さえておきましょう。

🔪 アジ類のさばき方の手順

Step1:ゼンゴ(ゼイゴ)を取る(尾の付け根から包丁を寝かせて前方へそぎ取る)
Step2:ウロコを取り、頭を落とす(胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れる)
Step3:腹を開いて内臓を取り、流水で洗って水気を拭く
Step4:頭を左・腹を手前に置き、中骨に沿って三枚におろす
完成! 腹骨をすき取り、皮を引けば刺身用の柵になります

鮮度の見分け方|目・エラ・ゼンゴをチェック

美味しく食べる第一歩は、新鮮な個体を選ぶことです。チェックすべきは目・エラ・体表の3点。目は黒目がはっきりして澄み、濁っていないものを選びます。エラは鮮やかな赤色がよく、茶色く変色しているものは時間が経っています。体表は青みやツヤがあり、ゼンゴまわりまでハリがあるものが新鮮です。シマアジの柵で買う場合は、断面の血合いがくすんでおらず、身に透明感とツヤがあるものを。マアジを1尾で買うなら、お腹がしっかりかたく締まっているかも見てください。やりがちな失敗として、見た目のサイズだけで選んで鮮度を見落とすケースがあります。とくに脂ののったシマアジは劣化すると脂が酸化して風味が落ちやすいので、鮮度のチェックはマアジ以上に丁寧に行いましょう。

三枚おろしのコツと失敗回避|包丁の角度がすべて

アジ類をさばくときは、最初にゼンゴを取るのが共通の鉄則です。尾の付け根に包丁を寝かせて入れ、前方へ滑らせるようにそぎ取ります。三枚おろしは、頭を左・腹を手前に置き、中骨の上を滑らせるように包丁を入れていきます。ここでよくある失敗が、「三枚おろしで中骨に身がたくさん残ってしまった」というもの。原因は包丁の角度が寝すぎていることが多く、刃を中骨にぴたりと沿わせる意識で、骨の硬さを刃先で感じながら進めると身を残しにくくなります。体高のあるシマアジは中骨もしっかりしているので、無理に一気に引かず、背側・腹側から数回に分けて包丁を入れると安定します。マアジは身が薄めなので、力を入れすぎず軽く滑らせるのがコツです。慣れるまでは骨に身が残っても、あら汁などで美味しく使い切れば無駄になりません。

⚠️ 注意:刺身で食べるときの安全管理

アジ類はアニサキスなどの寄生虫がいる可能性があります。刺身で食べる前に内臓を早めに取り除き、身に異物がないか目視で確認しましょう。一般的な予防策は、中心まで十分に加熱するか、家庭用冷凍庫でしっかり冷凍することとされています。また青魚は常温放置でヒスタミンが生じやすいため、購入後は早めに冷蔵・冷凍してください。体調に不安や異変を感じた場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

常温放置はNG|青魚のヒスタミンに注意

シマアジもマアジも青魚の仲間で、扱いで気をつけたいのが鮮度管理です。よくある失敗が、「刺身用に買ったアジを台所に2時間ほど常温で置いてしまった」というもの。青魚は常温に置くと、時間とともにヒスタミンという物質が生じやすくなり、これは加熱しても分解されにくいとされています。買ったらすぐに冷蔵庫へ入れ、できるだけ早く調理・消費するのが基本です。とくに脂の多いシマアジは劣化のサインが分かりにくいこともあるため、油断は禁物。持ち帰りに時間がかかるときは保冷剤や氷を使い、低温をキープしましょう。安全に関わる部分は過信せず、少しでも不安があれば生食を避けて加熱する、というのが家庭での賢い判断です。心配な場合や体調に異変を感じたときは、医療機関を受診してください。

アジの刺身とアニサキスの関係、確率を下げる予防策については、公的データをもとにこちらで詳しく解説しています。

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まとめ|シマアジとアジの違いは「属・見た目・格」で覚える

シマアジと、私たちが普段アジと呼ぶマアジは、同じアジ科でありながらシマアジ属とマアジ属に分かれる別属の魚です。見分けの決め手はゼンゴの位置で、マアジは側線のほぼ全長に、シマアジは尾側だけにあります。体高が高くふっくらしているのがシマアジ、スマートなのがマアジ。そして天然シマアジは1kg5,000〜10,000円にもなる高級魚、マアジは毎日の食卓を支える大衆魚という「格」の違いも、両者を分かりやすく隔てています。

味と栄養の面でも個性は対照的です。脂が濃くコリコリしてブリに近いシマアジは刺身向き、旨みと香りが身上のマアジは干物やフライで本領を発揮します。要点を整理しておきましょう。

  • 分類:同じアジ科でもシマアジはシマアジ属、マアジはマアジ属の別属
  • 見分け方:ゼンゴはマアジが全長、シマアジは尾側だけ。体高はシマアジが高い
  • 大きさ:シマアジ最大120cm、マアジ最大50cm前後
  • 値段:天然シマアジは高級魚、養殖でも約2,000円/kg。マアジは大衆魚
  • :シマアジは脂濃くコリコリ、マアジは旨みと香りでさっぱり
  • :天然シマアジは初夏〜夏、マアジは春〜夏(産地で前後)
  • 栄養:シマアジは脂質・カロリー高め、マアジはカルシウムが摂りやすい

まずは次にスーパーへ行ったとき、アジのパックとシマアジのパックを並べて、体型の厚みと値札を見比べてみてください。丸ごと1尾が手に入ったら、体側を頭から尾へ指でなぞってゼンゴの長さを確かめると、違いが体感できます。刺身で脂とコリコリ感を楽しみたい日はシマアジ、干物やフライで青魚らしい旨みを味わいたい日はマアジ、と気分や料理で選び分けられるようになれば、アジ売り場がぐっと面白くなるはずです。

※栄養成分・旬・価格などの最新情報は、水産庁や食品成分データベース等の公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

魚の種類・生態・食べ方を日々研究している魚好き。スーパーで見かける身近な魚から、釣り人にしか馴染みのない魚まで幅広くカバー。「この魚ってどう食べるの?」という疑問に答える、魚の図鑑のようなメディアを目指しています。

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